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 世界の国々がアメリカでどれだけ評価されているかを示す「BGRインパクト・インデックス」2024年版で、日本が1位になった。アナリストは、ウクライナやイスラエルなど海外ニュースが注目を集めるなか、日本はアメリカとの長期的な信頼関係構築に成功したとの見方を示す。

◆ドイツ、韓国、カナダを上回り1位に

 トップ5には日本に次いで、ドイツ、韓国、カナダ、イタリアの顔ぶれとなっている。日本は評価項目の25カテゴリー中、16のカテゴリーでトップ10に入った。うち5カテゴリーでは1位を獲得している。

 ランキングは米BGRグループのBGRアナリティクス社が発表したもので、権威あるメディア、ニュース、ソーシャルメディアのデータを集計している。同社は首都ワシントンに拠点を置く企業で、ロビー活動や関連情報の分析を行っている。ランキングは外国政府や政策立案者を対象に、アメリカでの強みや弱みを把握する手段となるよう意図されている。

◆ソーシャルメディアで目立つ、日本への肯定的な感情

 日本が1位となった5つのカテゴリーのうちの1つに、「ソーシャルメディアにおける好意的な感情(favorable social media sentiment)」がある。このカテゴリーでは、2023年1月1日から12月31日までの期間に投稿されたオンラインニュースおよびソーシャルメディアのデータ、計1兆4000万件を分析した。政治や文化などの面から、当該の国に対する感情を「ポジティブ」「ニュートラル」「ネガティブ」のトーンで分析し、「ポジティブ」と「ネガティブ」の比率から評価している。

 このカテゴリーでは、日本以外にもアジア諸国への好感度が高い。2〜7位は、タイ、インドネシア、インド、シンガポール、香港、韓国となっている。8位以降は、ブラジル、オーストラリア、フィリピンとなった。

 一方、大国である中国は、このカテゴリーで10位入りを逃している。ランキング全体でも15位に沈んだ。経済規模とグローバル企業数では上位だったが、オンライン・センチメントは下位で順位を押し下げた。

◆桜に象徴される日本文化

 米ネットメディア『アクシオス』(10月2日)は、「なぜアメリカ人は日本が好きなのか」と題する記事を掲載している。BGRの調査結果を受け、「日本はほかのどの国よりもアメリカに影響を与えている」とする内容だ。

 記事は日本の影響力の要因として、ソフトパワーの強さを挙げる。BGRアナリティクスの責任者であるフランク・アーレンス氏は、「(ワシントンにある)タイダルベイスン(の入り江)の桜並木は、アメリカにおける日本の最大のソフトパワーの発信地である」と述べ、日本の象徴である桜の影響力の強さを指摘する。

 アーレンス氏はさらに、「日本は長期戦を戦った」と述べている。短期的成果にとらわれず、長期的な関係構築で成果を挙げたとの見方だ。

 ランキング全体で3位になった韓国についても、文化的影響力が大きく貢献しているようだ。アーレンズ氏は、K-POPの好感度や、アカデミー賞を受賞した2019年のスリラー映画『パラサイト 半地下の家族』の存在の大きさを指摘する。

 投資などのカテゴリーでは日本はトップ10入りを逃しているが、ソフト面の強さが決め手となったようだ。

順位

1
日本

2
ドイツ

3
韓国

4
カナダ

5
イタリア

6
イギリス

7
フランス

8
オーストラリア

9
オランダ

10
スイス

11
メキシコ

12
アイルランド

13
スペイン

14
インド

15
中国

16
シンガポール

17
ブラジル

18
デンマーク

19
ポーランド

20
ベルギー

21
ノルウェー

22
オーストリア

23
香港

24
タイ

25
イスラエル