ヒューケラの詳しい育て方

ここからは、ヒューケラの日々のお手入れや管理方法、増やし方などを解説します。ここまで読めばヒューケラの育て方のポイントが理解できますよ!

苗の選び方

蒸れや病気による傷みがなく、節間が短くがっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。

植え付け


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ヒューケラの植え付け適期は、3〜4月です。

【地植え】

植える場所は半日陰の環境で、水はけをよくするために腐葉土などをよく混ぜておきます。植え付け後はたっぷりと水やりをしておきましょう。

【鉢植え】

鉢の大きさは、5〜7号鉢に1株を目安にするとよいでしょう。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ヒューケラの苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下までを目安に、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら用土を足していくのが植え方のコツです。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOK。美しいカラーリーフの品種を選ぶと、開花期以外も脇役として活躍します。

花がら摘み

終わった花がらは早めに摘み取りましょう。種子をつけると育成のために養分が使われ、株が消耗して勢いが衰え、花も咲かなくなるので、まめに摘み取るのがポイント。また、ヒューケラは、花を咲かせる時期に地際から花茎を長く伸ばし、その先に小さな花を多数咲かせます。花がほぼ咲き終わったら、花茎を根元から切り取っておきましょう。

種まき

ヒューケラの種まき適期は、3〜5月上旬か、9〜10月です。発芽適温は15〜20℃。種子が細かいので、ピートバンなどに播いて水切れに注意しながら管理を。発芽後は、間引きながら育成し、草丈が5〜10cmほどになったら黒ポットに鉢上げして、さらに育苗を続けましょう。本葉が増えてしっかりと締まった苗に成長したら、植えたい場所に定植します。

剪定・切り戻し

枯れた葉があればその都度摘み取って整理し、常に株まわりを清潔に保ちます。風通しが悪くなると株が蒸れたり、病害虫が発生しやすくなるので、茎葉が混み合いすぎている場所があれば、切り取って整理しましょう。

植え替え


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ヒューケラの植え替えの適期は、3〜4月です。ヒューケラはライフサイクルの長い植物で、株が年々大きくなっていきます。その成長に合わせて、適した植え替えのメンテナンスが必要です。

【地植え】

3〜5年を目安に株を掘り上げて植え替えましょう。大株に育っていたら、2〜3芽つけて根を切り分け、株分けをすると株が若返ってその後の生育がよくなります。株数が増える分、数カ所に場所を分けて植え込んでもいいですね。新しい植え場所に根鉢より一回り大きな穴を掘り、腐葉土をすき込んで水はけをよくしておきます。元肥として緩効性化成肥料を散布して、スコップなどで用土によく混ぜ込んでから移植するとよいでしょう。

【鉢植え】

順調に生育していれば株が大きくなって鉢が窮屈になってしまうので、1〜2年に1度を目安に植え替えましょう。植え替えの際は、土が乾いた状態で行うと作業がしやすくなります。以前植えていた鉢よりも一回り大きな鉢を用意するか、根鉢をくずして一回り小さくして同じ鉢に植え直します。用土は新しいものを使うとよいでしょう。株が大株に成長していたら、植え替えと同時に株分けしてもかまいません。

夏越し

真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、鉢植えは涼しい半日陰へ移動させたり、朝夕2回の水やりを欠かさずに。地植えの場合も、水がすぐぬるま湯になって株が弱ってしまうのを防ぐために、朝か夕方の涼しい時間帯に水やりを行いましょう。また、夏の高温期に肥料成分が残ると株が弱ることがあるので、夏は肥料を切らして管理するのがポイントです。

冬越し

霜がつくと葉の色が悪くなることがあるため、鉢植えの場合は軒下や日向へ置くとよいでしょう。基本的には寒さに強い性質のため、特別な防寒対策をしなくても冬越しは可能ですが、心配であれば冬はバークチップやワラ、腐葉土などでマルチングをしましょう。強い寒さに遭うと地上部が枯れることもありますが、寒さには強いので翌春には再び新葉を展開し、成長していきます。

増やし方


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「植え替え」の項目でご紹介したように、株分けをして増やすことができます。大株に育ったら、株を掘り上げて土を落とし、2〜3芽つけて根を切り分ければ、その分株の数も増えるというわけです。株分けは、植え替え適期の3〜4月のほか、9〜10月にも行えます。特に大株に育つと、存在感が大きくなりすぎて持て余してしまうこともあるのではないでしょうか。株を小分けにすることで、株が若返って再び勢いよく生育するメリットもあります。

ヒューケラは、挿し芽で増やすことも可能です。挿し芽の適期は6月か9月。勢いのある茎葉を切り取り、清潔な挿し木用の培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した茎葉(挿し穂)を挿しておきます。水切れしないように管理すると、しばらくすると発根するので、黒ポットなどに植え替えて育苗を。株が大きくなったら、植えたい場所に定植します。挿し芽のメリットは、採取した株のクローンになることです。

もちろん、種まきでも増やせますよ! 古くから日本に流通してきたツボサンゴなどを選ぶとよいでしょう。発芽適温は15〜20℃で、3〜5月上旬か、9〜10月が種まきの適期です。種子が細かいので、ピートバンなどに播いて水切れに注意しながら管理を。発芽後は、間引きながら育成し、草丈が5〜10cmほどになったら黒ポットに鉢上げして、さらに育苗を続けましょう。本葉が増えてしっかりと締まった苗に成長したら、植えたい場所に定植します。

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ヒューケラ栽培のよくあるお悩み


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徒長(わさび茎)状態になった時の対処法

植え付けてから数年経過すると、茎が立ち上がって草姿が乱れてきます。この、地表から茎が伸びた状態をわさび芽やわさび茎と呼びます。わさび茎の状態になった際は、露出した茎の部分を埋めるようにバークチップや腐葉土を使って土寄せをするか、わさび茎が埋まるように植え替えて、バランスのよい株姿にしましょう。植え替えをする場合は春か秋に行います。なるべく根を触らないように掘り上げ、株の状態・形状によっては株分けをし、成長点が地表に出る位置で植えます。ヒューケラの成長点は根と茎の境目にあり、そこから新しい葉が生えてくるため、成長点を地中に埋めないようにしましょう。

枯れる原因と対処法


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ヒューケラが枯れる原因は、過剰な水やりや日照不足、乾燥、風通しの悪さなどが考えられます。特に高温多湿で風通しが悪いと、病害虫の発生につながりやすくなります。ヒューケラを健康に育て、美しい葉を鑑賞するためには、適度に日が当たり、風通しの良い環境で管理することが大切です。鉢植えの場合は株と株の間が狭くなりすぎないように注意し、5〜7号鉢に1株を目安に植え付けましょう。また、強い寒さに遭うと地上部が枯れることもありますが、心配はいりません。ヒューケラは寒さに強いので翌春には再び新葉を展開してくれます。

ヒューケラの寄せ植え

ヒューケラは品種により花色や葉形のバリエーションが豊かで、基本的に一年中美しい葉を楽しめることから、寄せ植えやハンギングバスケットの名脇役でもあります。寄せ植えは同系色でまとめると統一感が出てより美しく仕上がりますが、ヒューケラは葉色が豊富に揃うため、メインの花とマッチする葉を見つけやすいのも嬉しいポイント。また、葉の形状や質感もさまざまあるので、主役を引き立ててくれるクッションのような役割として添えると、寄せ植えに奥行きや個性を創出してくれ、魅力ある作品が仕上がります。

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ヒューケラの種類豊富な美しい葉で彩りあふれる庭を楽しもう


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ヒューケラは耐陰性を持つ園芸初心者でも育てやすい植物で、明るく彩るカラーリーフプランツとして庭で存在感を発揮してくれます。和風・洋風問わず庭に溶け込み、初夏に咲く花も愛らしく、季節感も味わえる育てやすい植物です。ここで詳しくご紹介した栽培方法を参考に、庭やベランダ、花壇に寄せ植え、ハンギングバスケットなどを楽しんでみてはいかがでしょうか。

Credit

文 / 3and garden



スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。