本田技研工業
ホンダは日本で開催されたメディア向けイベント「Honda 0 Tech Meeting 2024」で、2026年からグローバル市場への投入を予定しているEV「0シリーズ」を発表した。軽量でコンパクトな電動モーターと、薄型のバッテリーパックを採用し、運動性能を重視している。イベントで試乗した海外メディアは、軽快なハンドリングと安定した走行性能を評価している。
◆GMと分かれたホンダの「軽量化」戦略
ホンダ0シリーズの外観デザインは、未来的な低いアーチ状のシルエットが特徴だ。今年1月の技術見本市「CES」でホンダが披露したコンセプト2種のうち、一体型のアーチ状ないしはくさび形は美しい「サルーン」をベースにしている。米ドライブ誌(10月8日)によると、ホンダは0シリーズの量産モデルでもこのデザインを維持する予定だという。
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0シリーズのコンセプトは、「Thin, Light, and Wise.(薄く、軽く、賢く)」だ。同誌は、「ホンダは多くの人が別れた元彼に仕返しするためにすることをする時が来た。すなわち、ダイエットだ」と表現する。
◆運動性能が向上し、キャビンスペースにもゆとり
米カー&ドライバー誌によると、この軽量化は薄型のバッテリーパックとコンパクトなe-アクスルによって実現している。また、車両の重心を低く保つことで運動性能を向上させた。さらに、米モーター・トレンド誌(10月8日)は、アルミニウム製のボディ構造により、従来のEVに比べて約220ポンド(約100キロ)軽量化されていると報じる。
バッテリーパックの薄型化は、メガキャスティングと3D摩擦攪拌接合という新技術によって実現された。これにより、バッテリーケースは競合他社よりも6%薄くなった。ドライブ誌は、車両の全高を低く保ちながらも十分なキャビンスペースを確保できるメリットがあると指摘する。
◆テストドライブで感じた「堂々の加速」
ホンダ0シリーズのテストドライブに参加した各誌は、運動性能の高さを称える。ドライブ誌は、試作車は軽快であり、直線では「スムーズでありながら堂々とした加速」が感じられたという。圧倒的な力強さではないが、十分に満足できるものだったとのコメントだ。特にコーナリングでの安定感が際立っていたという。「市販ガソリンモデルのCR-Vよりも優れ、堅実で楽しい運転体験ができる。間違いなくそれよりはるかに速い」との評価だ。
カー&ドライバー誌は、ドライブフィールは軽快に感じたと述べている。バッテリーとe-アクスルの配置により重心が低く保たれ、車の運動性能を高めていると評価している。コーナリング時のボディロールも抑えられ、ほかのEVより軽く感じ、ガソリンエンジンのアコードに近い挙動を示したという。また時速70マイル(約113キロ)の走行でも不安定に感じなかったという。
快適さもポイントだ。モーター・トレンド誌は、アルミフレームのボディがしなやかにたわむと指摘。「私たちが行った短時間のドライブでは、まるでCR-Vがエアサスペンションを得たように感じられた」と述べている。
GMと袂を分かったホンダだが、独自の技術でEV市場に新たな風を吹き込んでいくようだ。
Honda 0シリーズ コンセプトモデル「SALOON」|本田技研工業
Honda 0シリーズ コンセプトモデル「SPACE-HUB」|本田技研工業