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ぐっすりと熟睡しているとき、人はそれぞれにとって快適な睡眠姿勢を取っている。仰向けやうつ伏せがよく知られているが、これらをさらに細分化し、「兵士型」「自由落下型」など6つのタイプに分類される。
眠っている際の姿勢は、その人の性格を写し出すとも言われる。あくまで小規模なサンプルに基づいた調査結果であり、結果には異論もあるようだが、無意識の姿勢が真の性格を表しているとすれば興味深い。さらに、各姿勢には、健康上のメリットや注意点も存在する。自分の健康状態と照らし合わせると、より快適に眠れる姿勢が見つかるかもしれない。
米睡眠財団や米ヘルス・ライン誌などによる解説をもとに、それぞれの姿勢の特徴をご紹介しよう。
◆仰向け
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眠るときの姿勢を大きく3つに分類すると、仰向け・横向き・うつ伏せに分かれる。このうち仰向けは、背中を下にして寝る体勢だ。就寝と聞いて最も一般的にイメージしがちな姿勢の一つだが、仰向けで寝る人は全体の約13%とされ、ほかの姿勢に比べて少数派となっている。
一方、メリットは大きい。体重が均等に分散されるため、特定の部位に過度な体圧がかかることなく、脊椎も自然な状態で眠れるとされる。特に関節炎を患う人々にとって、痛みやこわばりを軽減し、より快適な睡眠が期待できる。また、顔を枕に押しつけないため、若年期の顔のしわを軽減する可能性がある。胃食道逆流症(GERD)の症状を軽減することもある。
反面、睡眠時無呼吸症候群の人々には推奨されない。仰向けで寝ると、気道が閉塞しやすくなり、無呼吸の回数が増える可能性があるためだ。また、いびきをかく人や、腰痛を抱えている人が仰向けで寝ると、症状を悪化させることがある。
性格診断上は、自信家であり、自己への期待が高い人々に多く見られるとされる。
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◆兵士型
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仰向けを細分化すると、兵士型とヒトデ型に分かれる。このうち兵士型は、全身をまっすぐにして仰向けに寝る姿勢だ。両腕は兵士のように、体の側にまっすぐに伸ばす。睡眠研究の専門家であるイギリスのクリス・イジコフスキー教授によると、兵士型で寝る人は静かで控えめな性格であることが多く、また自分自身や他人に対して高い期待を持っているという。
この姿勢で眠る人の割合は、約8%とされている。背中や首の痛みを和らげるのに役立つとされているが、いびきや睡眠時無呼吸症候群を悪化させる可能性があるため、こうした症状を持つ人には推奨されない。胃食道逆流症の人の場合、頭を少し高くして眠ると、症状を軽減できる可能性がある。
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◆ヒトデ型
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仰向けのもう一つのバリエーション、ヒトデ型は、両腕を頭の近くに上げ、脚を伸ばした状態で寝る。約5%の人々が好むとされている。男性に比較的多く見られるようだ。
ヒトデ型で眠る人は自己犠牲的で、他人を助けることをいとわない傾向があるとされる。1970年代に睡眠研究者のサミュエル・ダンケル氏が、仰向けで寝る人々は自己への信頼が高いと述べた。また、聞き上手であり、注目の的になることを好まないとも言われている。
健康への影響はおおむね仰向けと同様だが、手足を伸ばす関係上、背中や腰の痛みを引き起こす可能性がある。
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◆横向き
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代表的な3分類のうち、横向きもよく知られている姿勢だ。年齢が上がるにつれて好まれる傾向がある。調査によって数字は異なるが、成人のおおむね60〜70%以上が睡眠時間の大半を横向きで過ごすと言われる。
健康面では、横向きで眠ることは多くの利点があるとされる。たとえば、いびきの軽減や消化の改善に役立つとされている。胃の形状の関係上、特に左側で眠ることで胃酸逆流の症状が軽減され、妊娠中の母体と胎児の健康にも寄与することがある。また、横向きは一般的に腰痛の緩和や脊椎の自然な整列に寄与することがある。ただし、肩や首に痛みがある場合、横向きで眠ることで痛みが強くなるリスクもある。
サミュエル・ダンケル氏は1970年代、胎児型で眠る人々は不安を抱えていたり感情的である傾向があるとの説を発表した。ただし、現在に至るまで根拠は得られていない。
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◆丸太型
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横向きを細分化すると、丸太型、胎児型、切望型に分かれる。このうち丸太型は、体を丸太のようにまっすぐに伸ばし、両腕を体の側に沿わせる形だ。多くの人は横向きに寝る際に両足を伸ばすが、少なくとも片腕は曲げていることが多い。このため割合としては多くなく、全体のおよそ15%の人々が丸太型で眠ると言われる。
睡眠科学者のクリス・イジコフスキー氏は、丸太型の姿勢を好む人は社交的で、他人と容易に交流する傾向があると述べている。ただし、社交的で他人を信頼しやすいがゆえに、悪意ある人にだまされる可能性があるとも述べ注意を呼びかけている。
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◆胎児型
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横向きの一種、胎児型の睡眠姿勢は、胎児のように体を丸めて横向きに寝る。より具体的には、横向きに寝て、膝を胸の方に引き寄せ、腕を曲げて体に近づける形だ。成人によく見られ、なかでも特に女性に多いとされている。ある調査によれば、成人の約47%がこの姿勢で眠ることを好むという。
サミュエル・ダンケル氏の研究によれば、胎児型で眠る人は感受性が高く、内向的である傾向があるとされている。初対面では人見知りするが、実際には温かい心を持っているとも言われている。
健康面では、胎児型の姿勢は、いびきの軽減や消化の改善に役立つとされている。ただし、体をあまり強く丸めすぎると、翌朝に体のこわばりを感じることがある。リラックスできる適度な曲げ具合にとどめておくことが推奨される。胎児型は妊娠中の女性に特に推奨される姿勢でもある。左側を下にして寝ることで血流を促進し、心臓への負担を軽減する。
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◆切望型
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切望型は横向きの一種で、両腕を前方に伸ばす姿勢を指す。ログ型と似ているが、腕が体の横ではなく前方に伸びている点で異なる。何かを追い求めているように見えることから切望型と呼ばれる。
クリス・イジコフスキー氏によると、切望型の姿勢を好む人々は開放的であるが、ログ型の人々ほどではないという。また、皮肉屋で疑い深い傾向があるとも指摘している。
健康面では、切望型の姿勢で眠ると、肩の痛みを生じることがある。このような場合、意識的に別の姿勢で眠ることを検討しても良いだろう。一方、横向きで眠ることで、脳の老廃物を効率的に除去するのに役立つとする研究もある。一般的な横向きでの睡眠と同様、いびきの軽減や消化の促進にも役立つとされる。
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◆うつ伏せ
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仰向け・横向きに次いで、代表的な3分類の最後の1つがうつ伏せだ。最も少数派の睡眠姿勢であり、全体の約7%とされている。この姿勢は、腹ばいになり、多くは顔を横に向け、腕は枕の下か体の横に置くことが多い。
なかでも自由落下型は、うつ伏せの代表的な姿勢だ。手を枕の上や周りに置き、頭を横に向ける形を取る。上空から落下している最中のような体勢だ。
うつ伏せで眠る人は、X世代やミレニアル世代に多いという調査結果がある。ダンケル氏の研究では、うつ伏せで眠る人は社交的で、批判に対しては敏感であるとされる。不安、衝動性、強迫性、頑固といった特徴があり、こうした性格を生かした管理職や会計の仕事に向いているとの見解がある。決定的なデータはないものの、その後の研究でも、うつ伏せで眠る人は不安を感じやすく、自信がない傾向があるとされている。
健康への影響としては、うつ伏せで眠ることで首や腰に負担がかかる可能性がある。特に柔らかいベッドで眠る場合、脊椎に無理な力がかかり、翌朝や日中に痛みを引き起こすことがある。一方で、いびきや閉塞性睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減する可能性があるとされる。
身体の痛みやいびきなどの症状がある場合、睡眠時の姿勢を見直してみると改善が期待できるかもしれない。
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