料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目10月のテーマは、「秋の味覚、キノコを楽しむ」。3つのレシピを紹介します。
シイタケ、マッシュルーム、エリンギにマイタケ。秋はキノコが豊作。それぞれの味の違いを楽しんで。
秋の味覚、キノコを楽しむ。
先生:もうすっかり秋。野菜も果物もおいしくて、新米もあり、言うことなしの季節ね。
生徒:秋と聞いただけで食欲が湧いちゃうのは、幼少期からの刷り込みでしょうか。
先生:さすがに直子さんほどじゃないけど、私も「秋だ」と思うだけで、買い出しも料理も楽しい気分でやれてしまうの。
生徒:味覚の秋と言えば……。
先生:今月の教室は「キノコづくし」です。
生徒:わわわ。先生に思いが通じた!
先生:なぜなら私も大好きなの。さあ、「キノコのポタージュ」から作っていきましょう。玉ネギはみじん切りに、シイタケ、ブラウンマッシュルームは4等分にします。エリンギはほかのキノコと同じサイズに切りますよ。
生徒:3種類のキノコが入るんですか。
先生:そのほうがブラウンマッシュルームだけで作るよりも味に深みが出るの。
生徒:シイタケとエリンギはほかのお料理にも使うんですね。
先生:同じキノコがそれぞれ全く違った料理になる。今回はそんな楽しみもお伝えしたいと思っています。では最初に玉ネギをバターで炒めますよ。しんなりしてきたらキノコを加えてさらに炒めます。ローリエを入れてフタをして、弱火で12分蒸し煮にしてね。
生徒:(12分後、フタを開ける先生を見て)今、フタについた水分を一滴も無駄にせずお鍋の中に入れましたね!
先生:よく気づいたわね〜。キノコから出る水分も大切に使うのがおいしさの秘訣です。次に生クリーム、牛乳を加えて中火でひと煮たちさせたら弱火で2〜3分ほど煮ます。
生徒:ローリエを取り、ハンディブレンダーで撹拌したらベース作りは完了ですね。
先生:このベースは半量使うので残りは保存袋に小分けにして冷凍すると便利よ。牛乳で好みの濃度に調整して、塩で味を調えてね。
生徒:はいっ。
先生:さて、「焼きキノコと柿のサラダ」のキノコをグリルしていきましょう。弱火でじっくりじゃダメですよ。水分と一緒に旨味が逃げます。油はひかずに、強火で焼いてね。
生徒:キノコは手で裂くんですね?
先生:こうすることで表面に動きが出て、味がしみやすくなるんです。柿はくし形切りに、春菊はやわらかい葉だけ摘みましょう。みじん切りにした赤玉ネギは、塩でなじませてから水にさらして、水気をきり、赤ワインビネガー、きび砂糖と合わせてなじませます。そこに柿を加えてざっと和えておきますよ。
生徒:私は焼いたキノコをボウルに入れて、醤油で和えるところまでやりました。
先生:そこに春菊と赤玉ネギを加えて、 オリーブオイルと粗塩で味を調えたら完成よ。
生徒:締めは「キノコのオープンサンド」。キノコを切り、ニンニクをつぶして、パセリをみじん切りにするところまでやりました。
先生:鍋にオリーブオイルとニンニク、タカの爪を熱します。パセリを加えて炒めたら、キノコ、粗塩、白ワインを加えてフタをして、10分ほど蒸し煮にします。オープンサンドにしたいので、フェタチーズをのせてトースターで焼くんですが、縦半分に切るとき、バゲットは立たせて切ると上手にできます。蒸し煮にしたキノコをのせて、黒胡椒をしたら完成です。
生徒:食べたさゆえいつになく働きました〜。
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1.キノコのポタージュ
バターでじっくり炒めた玉ネギがおいしさの秘訣。焦げないように弱火で。
ポタージュ作りは火加減が決め手。生クリームと牛乳は中火でひと煮立ちさせる。
〈材料〉作りやすい分量
玉ネギ…1/3個
シイタケ…3枚
ブラウンマッシュルーム…6個
エリンギ…3本
バター…20g
ローリエ…1枚
生クリーム…100㎖
牛乳…200㎖(調整の牛乳は適量)
塩…適量
〈作り方〉
1.玉ネギはみじん切りにする。シイタケ、ブラウンマッシュルームは4等分。エリンギはほかのキノコと同じサイズに切る。
2.鍋にバターを溶かし、玉ネギをしんなりするまで弱火で炒める。シイタケ、ブラウンマッシュルーム、エリンギを加えてさらにしんなりするまで炒め、ローリエを入れてフタをし、弱火で12分蒸し煮にする。
3.生クリーム、牛乳を加えて、中火でひと煮たちさせ、2〜3分弱火でさらに煮る。ローリエは取り出す。
4.ハンディブレンダーで撹拌し、このベースの半量を使い(約3皿分)、牛乳(分量外。目安は200㎖ほど)で好みの濃度に。塩で味を調える。