好きなブランドの扉を開くきっかけに。
約12年前、2回りほど年上の方から「きっと似合うと思う」とプレゼントされました。ハリがあるのに柔らかく、なめらかなコットンの生地で、夏は涼しく速乾性もあり着心地が良い。それまで着用していた服とは違う感覚がありました。調べてみると、ずっと好きなスタイリスト・井伊百合子さんの師匠が手がけられているブランドと知り、ますます特別な一枚に。その後仲良くなる人やセンスのいい人たちが、気がつくと〈アーツ&サイエンス〉のアイテムを身に着けていて、素敵な大人が愛用するブランドなのだと信頼度は高まるばかり。最初はレストランなどちょっとしたお出かけに、体に馴染むにつれ日常使いに、そのうち母も気に入って着るようになり、今ではところどころにほつれが。けれど、まだどうにかして着られないかなと思い、ずっと手放せずにいます。
前田エマ Emma Maedaモデル
モデル、執筆、ラジオパーソナリティなど多岐にわたり活動。韓国で出会った人や文化を紹介した『アニョハセヨ韓国』(三栄)発売中。
illustration : Megumi Sasaki text : Shoko Matsumoto
&Premium No. 131 LONG-TIME STAPLES / 使い続けたくなる、愛しいもの。
ファッションやライフスタイルにまつわるもの選びにおいて、時間をかけて長く付き合っていく姿勢が、これまで以上に必要とされているように思います。でも、ただ漫然と「長く使い続ける」ことだけが重要ではなく、それを使ったり、身に着けたときに、出合った頃と変わらぬ「愛おしさが続いている」ことも、忘れてはならない大切な要素なのではと考えます。初めて手にしたときの高揚感、作り手のこだわりに惚れ惚れとしたこと、使い続ける日々の中で紡がれた大切な思い出……。そういったさまざまな「記憶」が、人とものを、長きにわたって、幸せなかたちで繫ぎ合わせていくのです。〈ミナ ペルホネン〉のデザイナー・皆川明さんをはじめ、たくさんの方々に「使い続けたくなる、愛しいもの」にまつわるエピソードについて聞いてみました。
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