今週のテーマは「温泉旅行から帰ってきた途端に、彼女の態度が急変した理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:千代田区・番町出身のお嬢様28歳と温泉旅行。1泊2日の後、女の態度が急変したワケ
交際して半年になる大輔と温泉旅行に行って以来、ずっと考え続けていることがある。「果たして、この人で本当に良いのだろうか」と…。
大手ゼネコン勤務、33歳、名古屋出身の大輔。性格も良く、顔も悪くない。結婚したらきっと良い旦那さんになるだろう。
何よりも、28歳になる私は結婚がしたい。結婚願望が強く、「結婚を前提に」と言ってくれた大輔を手放すのは、あまりに惜しいと感じている。
しかし、旅行に行くと、自然と見えるものがある。今回の旅を経て、私の中にどうしても拭えない“疑惑”が生まれてしまったのだ。
結婚前に感じた「価値観の違い」や「違和感」は、どこまで許容できるものなのだろうか…。
どうして良いのかわからず、頭を抱えている。
A1:将来を見据えて交際できる人だと思ったから。
大輔と出会ったのは、友人が開いてくれた食事会の席だった。がっしりとした体格で男らしい大輔を見て、最初から「良いな」と思った。
小学校から女子校育ちの私は、男性に対する理想が高いほうだと思う。
ただ実家は千代田区の番町にあり、経済的には不自由したことがなかったので、相手の年収にはあまりこだわりがなかった。
「大輔さんは、どちらのご出身ですか?」
「僕は名古屋です。遥さんは?」
「私は都内で…」
あまり大きな声では言えないけれど、私は今でも実家暮らしだ。「結婚したら出よう」とは思っているものの、居心地が良くて、ついダラダラと居続けている。
「遥さん、ご実家に住んでいるんですか?」
「そうなんです。もうすぐ30歳になるのに、恥ずかしい話ですが…」
「いえ、ご実家が近いならそれもありですよね。逆に羨ましいです」
にこやかに受け止めてくれる大輔を見て、私はさらに彼を良いと思った。
翌日、彼のほうからしっかりと食事に誘ってくれ、私たちは麻布十番の和食店でデートすることになった。
食事をしながら、お互い色々なことを話し合う。
「遥さんって、普段お料理とかされるんですか?」
「しますよ。母は専業主婦なんですけど、私も手伝うようにはしています。お料理とかお掃除とか…意外に好きなんです」
アピールするわけではないけれど、実家暮らしにしては、家事はできるほうだと思う。
「家庭的なんですね」
「大輔さんは?」
「僕は人並みに…という感じですかね。まったくできないわけじゃないですが、男のひとり暮らしなんで適当になることも多いです」
「それは仕方ないですよね」
今日も大輔は穏やかで、素敵だった。人の話を一生懸命聞いてくれるし、優しい。
今は不動産関連の会社で事務をしていること、学生時代の話など…。大輔が聞き上手だったのでつい色々と話してしまう。
「私は次女なので、かなり自由です。仕事も『好きなことをしていいよ』って感じでしたし。大輔さんは?」
「僕は長男ですが、適当ですよ。普通の家庭ですし。今のゼネコンの仕事も、親とかノータッチです」
「ご両親は?今も名古屋ですか?」
そんな話をしていると、大輔の声のトーンが少し下がった。
「ちなみに遥さんって…今お付き合いされている方とかいらっしゃるんですか?」
「いないですよ!いたらこうやって、食事とかしないですし」
「僕とかどうですか?」
突然のことで、一瞬言葉が出てこなくなった。もちろん嬉しいし、「大輔と交際できたら幸せだろうな」ということが容易に想像できる。
ただ、私は今年で28歳。時間はない。
だからそれを、最初から正直に伝えることにした。
「ありがとうございます。すごく嬉しいです。でも私、結婚がしたくて…正直、結婚願望がなかったり、将来を見据えられない方とはお付き合いしたくなくて。大輔さんは、結婚する気がありますか?」
ここで「NO」と言われたら、もう終わりだ。しかし大輔は、真剣に考えてくれているようだった。
「僕も同じです。結婚を前提に、付き合っていただけますか?」
「はい…!」
こうして、めでたく交際することになった私たち。しかし半年記念の温泉旅行で、私の心は大きく揺れ動くことになる…。
A2:このまま結婚しても良いのか不安になった。
交際して半年くらいが経った頃、私たちは、温泉へ行くことになった。
当初、「交際して半年くらいでプロポーズかな」と大輔が言っていたのを、今でも鮮明に覚えている。
しかし待てど暮らせど、大輔からそのムーブはない。
もしプロポーズをするにしても、温泉旅行ではない気がするとは思っていが、どこか期待もしている自分もいた。
彼なりに色々と調べて、個室露天風呂付きの素敵な宿を予約してくれる。
「素敵な部屋…!大輔くん、ありがとう♡」
「楽しい旅にしようね」
こうして、楽しい温泉旅行が始まったはずだった。しかし途中で、事態は急変することになる。
それは、部屋へ着いてすぐのことだった。彼がその辺に脱ぎっぱなしにしたジャケットと共に、明日の洋服をかけようとした時のこと。
「大輔くん、明日の洋服かけておこうか?」
「そうだね。ありがとう」
何げなくジャケットのポケットの中を探ると、何枚かの名刺が入っている。
「ねぇ、ポケットの中に名刺がそのまま入ってるよ?」
「え!ごめんごめん」
見なければ良かったのかもしれないが、何か嫌な予感がして、その名刺を見てしまった。
すると、夜のお店の女性たちの名刺が何枚があった。
― これって…。
先日、地方出張に行ったときのものだろう。
付き合いもあるだろうし、仕方のないことだと思う。それにこんなことでめくじらを立てる私は、子どもなのかもしれない。
― でも、もしそこで、誰か良い子に出会っていたら…?若くて可愛い子たちがいるお店へ行って、本気になったらどうしよう。
そう思うものの、不安が湧いてくる。ただ同時に、若干の怒りさえ覚える。
私は、大輔の誠実なところに惹かれている。それなのに、私に黙って行ったことが許せないし、「結婚を前提に」と言いながら夜のお店へ行く男性は、果たして誠実と言えるのだろうか。
そんなことを考えれば考えるほど、目の前にいる大輔が急に色褪せて見えてきた。
「後は自分でやるから、遥は先にお風呂入ったら?せっかくの個室露天風呂だし」
「そうだね!ひたすらのんびりしよう〜」
― どうしよう…。
しかも一旦嫌だと思うと、どんどん他の箇所も目についてくるもの。
美味しい食事なのに、嫌いな物を端によけている大輔を見て、つい小言も言いたくなる。
「大輔くんってさ、好き嫌い多いよね」
パクチーなどの香草系に、キノコ類に魚介類と、とにかく好き嫌いが多い。申し訳ないけれど、「どういうお育ちをしてきたんだろう?」と思ってしまう。
好き嫌いのことはもともと知っていたのに、私の中の何かが外れたのか、とめどなく彼の嫌な部分が見えてくる。
「そうかな。食べないといけないのはわかっているんだけどね…」
「そうだね。子どもができたときに、格好つかないよね」
「でも子どもは子どもで、好きな物を食べたらいいし!」
― はぁ…。
どうしてこうなってしまったのだろうか。
私が名刺を見つけたから?こんな些細なことを気に留めているから?スルーすれば良いような、些細なことだとはわかっている。でもどうしても解せない自分もいる。
自問自答を繰り返しても、答えは出てこない。
結局私はせっかくの楽しい温泉旅行を無駄にしたくなくて、話題を変えてせめて旅行中はいつも通りに振る舞うと決めた。
「そうだけど…。まぁいいや。せっかくの楽しい時間だから、楽しい話をしよう!最近、大輔くんの仕事忙しそうだけど…」
旅行は楽しかったし、笑って見逃せば済む話のこと。それに浮気をしていたわけでもない。
― 世の女性たちは、笑って許せるものなのかな…。
しかも自分の小ささを露呈するようで、大輔にも言えない。
ひとりでどうすれば良いのかわからず、ひたすらモヤモヤとしている。
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