多様な競合の出現〜独自の価値に基づいた差別化が求められる時代〜
LTV向上の重要性が高まる背景には、競争環境の激化も関係しています。
OEM(製造委託)やインターネットの普及、ならびにマーケティング手法の成熟化により、誰でも簡単にモノを製造・販売できる時代になりました。消費者ニーズからすると、同じようなプロダクトであるならば「どれでもいい」というのが本音ではないでしょうか。
これは、簡単にブランドスイッチされてしまう時代であることを示しています。企業にとっては、競合が増え続ける時代であり、変わりゆく外部環境や消費者ニーズを常に捉え続け、顧客との良好な関係を維持していくためのマーケティング活動が非常に重要です。
モノ・サービスの質は均一化しており、差別化が難しい時代になりました。企業の効率性(生産性)ばかりを重視すれば、あらゆるモノ・サービスは画一化していき、顧客は「性能」や「機能」だけで商品やサービスを選ぶことができなくなります。
もしあなたのブランドの商品が、消費者から「別に他のブランドで購買しても同じだ」と思われてしまうような位置付けなのであれば、価格競争、認知競争を永遠に続けることになるでしょう。
もちろん、価格競争と認知競争に勝利し続ける戦略も、業界特性が適している場合や、勝ち筋が見えている場合には有効です。しかし、仮にそうであっても「このブランドがいい」と思ってもらえるお客様が一定数存在するなら、さらに有利に戦えるはずです。
そもそも、顧客が求めていることは、「企業の効率性(生産性)」ではないはずです。顧客が求めているのは、サービスやプロダクトがつくり出す「価値」です。利便性が増した現代においては、そのなかでも「体験価値」「自己実現価値」、さらには「愛着」という価値が、選ばれるうえで非常に重要になっているのです。
小父内 信也
株式会社Asobica
取締役CCO