FRB(米連邦準備制度理事会)は9月18日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、政策金利の引き下げを決定(5.25~5.5%から4.75~5.0%)。これにより、アメリカの金利は4年半ぶりに低下しました。これまでFRBは新型コロナウイルスの影響やそれに続く予想外のインフレに対応するため、2022年3月から2023年7月まで11回連続で利上げを実施し、金利を急激に引き上げてきました。しかし最近の指標ではインフレが落ち着きつつあり、また労働市場も弱さを見せ始めていることから、FRBはついに利下げに踏み切ったのです。

パウエルFRB議長は、8月に行われたジャクソンホール会合で「経済の現状を考慮し、政策を調整する時期が来た」と発言しており、今回の利下げは市場でもある程度予想されていました。声明では、インフレ率が持続的に2%に向かっているとの自信が強まっていることや、雇用と物価の目標達成に関するリスクがほぼ均衡していると判断されました。これにより、FRBは今後もデータを慎重に分析しながら金融政策を進める姿勢を示したのです。

今回の利下げは、新型コロナウイルス禍以降初めてとなり、FRBは物価の安定と雇用の最大化という二つの目標を引き続き重視しながら、バランスの取れた政策運営を目指しています。パウエル議長は、今回の0.5%の利下げが適切な政策調整であると強調しつつ、今後の金利政策については過度な期待を抑え、慎重に判断していく考えを示しました。

FRBの利下げが経済に与える影響


FRB
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FRBが利下げを行うと、通常、企業や消費者は低金利で資金を借りやすくなります。企業が事業拡大や設備投資を行いやすくなり、消費者も住宅ローンやクレジットカードの金利が低くなるため、消費が促進されます。これにより経済全体の活性化が期待され、株式市場にもプラスの影響を与えます。企業の業績が向上すれば投資家が株を買い求めるため、株価が上昇する可能性があるからです。

一方で金利が上がると、企業の資金調達コストが増加し、事業拡大に消極的になるため、株価の下落に繋がることがあります。特にアメリカの企業は世界経済に大きな影響を与えるため、FRBの利下げや利上げは他国の株式市場にも波及する可能性が高くなります。

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FRBの利下げが為替市場に与える影響

FRBが利下げを行うと、アメリカの通貨であるドルの金利が下がるため、ドルの魅力が減少します。その結果、投資家はより高い利回りを求めて他の通貨に資金を移すことが多く、ドル安に繋がる傾向があります。特に日米間の金利差が縮小すると、円が相対的に強くなり、円高ドル安が進む可能性があるのです。

円高が進むと、日本の輸出企業にとっては不利な状況となります。海外での日本製品の価格が高くなり、競争力が低下するためです。一方で円高によって輸入品のコストは下がるため、消費者にとってはメリットがあると考えられます。