私たちのメンタルヘルスと大いに関わりのある「睡眠」。睡眠のクオリティーが人生を左右するという事実、健やかな睡眠生活と、メンタルヘルスを維持する秘訣について、二人の専門家に聞いた。
外的環境を整えて睡眠の“質”を高める
「睡眠は、時間よりも“質”が大切。質を高めるには、快適な気温や湿度、部屋の明るさなど多くの要素が関わります。“絶対解”はなく、人によって条件が異なるので、少しずつ条件を変えてよい環境を探るとよいでしょう。規則正しい生活や、朝食で体内時計をリセットすることも大切」(西野先生)。
日本全国の1万人を対象にした統計によると、平均して7時間40分の睡眠時間が理想であるのに対し、実際は平均6時間50分しか睡眠がとれていないという結果に。理想に対して50分も不足していることから、満足のいく睡眠が実現できているとは言い難い状況がわかる
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植物による“予防的ケア”もひとつの手
産婦人科および植物療法の専門家のフランスの医師・アルナール先生に、メンタルヘルスについて聞くとこんな答えが。「マグネシウムやビタミンB6を補うことは有効です。メンタルについての医療現場では抗不安薬や睡眠薬、抗うつ薬がよく使われますが、まずは植物での予防的ケアを始めることを推奨します。特に、セントジョーンズワートというハーブは、ストレスを管理する力を高め、睡眠改善も期待でき、おすすめ。日本ではハーブティーなどの形で手に入りますよ」(アルナール先生)。この秋は二人の専門家のアドバイスを基に、ぐっすりと眠り、いきいきと活動する日々を手に入れたい。
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所所長、株式会社ブレインスリープ最高研究顧問。医学博士、精神保健指定医、日本睡眠学会専門医。睡眠研究に30年以上携わる“睡眠のオーソリティ”。代表著書に『スタンフォード式 最高の睡眠』。
ベランジェール・アルナール
医学博士、産婦人科専門医。パリ第13大学医薬学部植物療法学元教授。15年間教壇に立ったのち、仏・ボルドーのクリニックで産婦人科における植物療法の臨床に関わる。女性のウェルビーイング、植物療法の普及に尽力。