薬膳の知恵できれいに。今回はうるおいを生み出す食材を使った乾燥対策に効果的なレシピをご紹介。レシピは、れんこんつくねです。
中国最古の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」では、秋の3カ月を「容平」といいます。「容平」とは、「収穫」という意味。この時期、万物が成熟し、収穫され、すべてがきゅっと引き締まり、収めるべきところに収納されるといわれています。冬に向かっての準備が自然界でも私たちのからだの中でも進んでいます。
「黄帝内経」では、秋の養生法を次のように述べています。
「この季節には、鶏の寝起きのように、早く寝て早く起きることであり、心を安らかにして、くやまず精神を落ち着かせて、秋の気が身体を損なうことのないようにし、やたらと動きまわって、肺を冷やさないようにします。これが秋の季節に調和した養生法であります。もし、養生法に逆らって、秋の冷えにあたり肺を冷やしたりすると肺を損傷し、冬になって食物を消化しきれずに下痢をしたりします」
春夏の「動」から秋冬の「静」の季節への転換期。気忙しい生活を送らないように普段より少し時間の余裕をもち、涼しく乾燥している状態(涼燥)から肺をケアするようにうるおいを生み出す食材をとり、本格的な寒さへの準備をしていくことが大切です。
前回もお伝えしたように、「白い食材」は、この時期積極的に摂取したいうるおい食材です。
中でも特に「れんこん」は、手軽に購入でき、調理しやすいおすすめ食材です。鶏肉は「気」を補ってくれる「補気」食材のひとつ。気力をアップさせたいときにも効果的です。今回は、たっぷりのれんこんと鶏肉を組み合わせた「れんこんつくね」をご紹介します。
今月のレシピ
れんこんつくね
<材料>(2人分)
れんこん……150g
鶏ひき肉……200g
片栗粉……大さじ1
塩……少々
A
砂糖、酒……各大さじ1
しょうゆ……大さじ2
みりん……少々
作り方
❶れんこんは薄いスライスを4枚作る。残りのれんこんをすりおろす。
❷ボウルに鶏ひき肉、れんこんのすりおろし、塩を加えてよく混ぜ合わせて、4等分にする。
❸ ❷を丸めて、❶のれんこんスライスを片面にはる。
❹フライパンにサラダ油少々(分量外)をあたため、れんこんの面を下にして入れる。
❺弱火で両面をじっくり焼き、Aを加えて途中上下返しながら、味がしみるように加熱する。
お弁当の作り置きおかずとしても便利な1品です。ぜひお試しください。
橋本加名子(はしもと かなこ)
料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」開催中。
サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
Instagram:kanakohashimoto1
文・写真/橋本加名子(料理研究家、国際薬膳調理師・栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC