南アフリカにおける最高級ワインの造り手で、世界的に絶大な支持を得ている「マリヌー」。オーナーのクリス・マリヌー氏と、妻で醸造家のアンドレアさんが来日し、単一畑シリーズのワインを紹介し、ワイン造りにかける思いやテロワールを語った。

マリヌーの創立は2007年。アメリカ・カリフォルニア出身のアンドレアさんと、南アフリカ・ステレンボッシュ出身のクリス氏が、スワート地方の可能性に賭け、設立した。
2020年までに『プラッターズ 南アフリカワインガイド』で5ツ星を30回も受賞、そのうち「プラターズ・ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」を4回受賞するなど、ごく短期間で安定した高評価を得るワイナリーとなった。
またアンドレアさんは『ワイン・エンスージアスト』の2016年「インターナショナル・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、17年にはワインジャーナリストのティム・アトキン氏の『南アフリカ スペシャル・リポート 2017』において「南アフリカ・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」に選出された。さらに『ワイン&スピリッツ』誌では「世界最優秀ワイナリー TOP100」に何度も選ばれている。

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クリス氏とアンドレアさんの2人が選んだブドウは、シュナン・ブランとシラーだ。
「スワートランドのテロワールに適し、個性を際立たせることができると判断しました」と語る。
ブドウの個性をワインに表したいと、減農薬栽培を行い、醸造では天然酵母を使用、清澄剤やろ過は行わない。
こういったアプローチができることも、気候に恵まれた南アフリカを選んだ理由の一つだと話す。

来日セミナーで登場したのは「シングル・テロワール」シリーズだ。
シュナン・ブランとシラー、それぞれグラニット(花崗岩土壌)、アイアン(鉄分土壌)、シスト(岩質土壌)と土壌による個性を表現している。

左から『マリヌー グラニット シュナン・ブラン 2023年』『マリヌー アイアン シュナン・ブラン 2023年』『マリヌー シスト シュナン・ブラン 2023年』『マリヌー グラニットシラー 2022年』『マリヌー アイアン シラー 2022年』『マリヌー シスト シラー 2022年』。それぞれの品種において醸造方法はすべて同じ。土壌の違いをはっきり感じることができる

シュナン・ブラン

『マリヌー グラニット シュナン・ブラン』(花崗岩土壌)
(税別希望小売価格:1万2300円)
マリヌーのグラニット土壌の畑は、5億年前の土が今に残り、年月を経て砂質に変化している。そのためブドウの根が地中深く伸び、地中の水分やさまざまな栄養分を吸収することができる。地上では葉を多く茂らせ、「葉の傘」を作ることで直射日光の影響を抑え、果実が涼しい環境で育つような仕立てを施している。
ワインは酸やミネラルが多いフレッシュな味わいとなり、白い柑橘類が特徴として表れる。力強いアタックとともにフレッシュさや果実の甘やかさ、しっかりとした苦味が続く。

『マリヌー アイアン シュナン・ブラン』(鉄分土壌)
(税別希望小売価格:1万2300円)
こちらも5億年ほど続く土壌で、鉄分が酸化したため茶褐色を帯びている。粘土質が混ざっており、そのため夏でも水分が保たれ、ワインはフレッシュで酸がしっかりとしたものとなる。ブドウの実は凝縮し、クリーミーでリッチな印象が現れる。またモモやネクタリンなどストーンフルーツの香りと力強いミネラル感が、このテロワールの特徴だ。

『マリヌー シスト シュナン・ブラン』(岩質土壌)
(税別希望小売価格:1万2300円)
石がスレート状に層を成す土壌で、表土が薄く、そのすぐ下には石質土壌が広がっている。ブドウの房が他の土壌で育つものより小さく、実も小さい。果皮が厚く、色が濃くストラクチャーの強いワインが生まれる。
ほかの土壌のものと比べると香りの広がりが最も大きく、ピリッとした刺激を感じる苦味、骨太な酸味など、重厚感のあるワインとなる。

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シラー

『マリヌー グラニット シラー』(花崗岩土壌)
(税別希望小売価格:1万8100円)
5億年前からの砂質花崗岩土壌で育つシラー。深さ5メートルほどにまで根が届いているという。シュナン・ブランと同じく、葉を多く茂らせて果実が葉の陰になるため涼しい環境が生まれ、ワインには酸が高く心地いいタンニンが表れる。ほかの土壌に比べると最も華やかな風味が広がり、リッチな花の香りなどを感じる。

『マリヌー アイアン シラー』(鉄分土壌)
(税別希望小売価格:1万8100円)
保水力のある土壌だが、ブドウが色付く成長期は水分が少ないという。そのため凝縮したフレッシュな味わいとなり、「グラニット」に比べると丸くスムーズなニュアンスが表れる。鉄を思わせる香りや火打ち石のようなニュアンス、黒い果実がグラスから立ち上る。

『マリヌー シスト シラー』(岩質土壌)
(税別希望小売価格:1万8100円)
葉を少なく仕立てているため、果実に日光が当たることや、スレート状の土のため雨水が横に流れ保水力が弱いことから、果実は小粒で、丸く力強いタンニンが備わる。

「より多くの人に南アフリカワインの味わい、マリヌーのワインからテロワールを感じてもらいたい」と話すマリヌー夫妻。2人で世界を飛び回り、ワインの魅力、スワートランドのテロワールを力強く伝えている。

ワインの問い合わせ先:㈱モトックス 0120-344101