消石灰と苦土石灰の違い
concept w/Shutterstock.com
消石灰は炭酸カルシウムを原料とし、主成分はカルシウムです。カルシウムは丈夫な植物にするために必要な栄養素であり、施肥することで土壌中の不足を補うことができます。また消石灰はpH12という強アルカリ性なので、土壌改良のほか土壌殺菌にも効果があります。植物や動物に有害な細菌類は生息できる土壌中のpHが限られており、消石灰を広範囲に散布し、pH調整を行うことで駆除、殺菌することができます。ただし土壌消毒を行ってすぐは植物にとっても害のあるpH値なので、消毒後の植え付けは数週間後に行いましょう。
対して苦土石灰の主成分はカルシウムとマグネシウムで、土壌中のpH値を調整する力は劣りますが、カルシウムという栄養素に加えて植物のエネルギーを作る元である葉緑素を作る上で欠かせないのがマグネシウムです。酸度調整効果が消石灰と比べると低く消毒には向いていませんが、植物にとっても比較的安全で改良後すぐに植え付けたり、2つの栄養素を一度に補ったりすることができ、扱いやすさから小規模な家庭菜園などでよく使われています。
(広告の後にも続きます)
苦土石灰の必要性を見極める方法
Rainer Fuhrmann/Shutterstock.com
苦土石灰を使用したほうがよいかを考えるためには、使う土の酸性度(pH)とカルシウム不足について把握する必要があります。土壌の酸性度の測定にはさまざまな方法があります。主な測定法としては、ホームセンターや園芸店で手に入る酸度計を使ってpHを調べるほか、リトマス試験紙で判定することもできます。リトマス試験紙を使う際は、地面から5~10cm程度の深さから土を採取し、蒸留水を1:2.5の分量で混ぜてよく撹拌し、30秒後に上澄み液を測定液やリトマス試験紙で測定して判定しましょう。
土の状態の大まかな目安としては、スギナやオオバコ、ハハコグサ、カヤツリグサ、メヒシバ、イタドリなどの雑草が目印になります。これらの植物が多く生えている土壌は酸性に傾いている可能性があるので、測定してもいいかもしれません。カルシウム不足については作物の障害で見極めることができます。土壌中のカルシウム分が不足するとトマト、ナス、ピーマンなどの果実に尻腐れ病が発症します。またキャベツやハクサイの芯腐れや葉先の枯れなどが顕著になります。