石灰を使うときによくある失敗例
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ここでは石灰で土壌改良を行った場合の起こりがちな失敗について解説します。
アルカリが過多になる
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石灰の撒きすぎにより土壌中の酸性度(pH)がアルカリに傾きすぎてしまうと、リン酸や鉄、マンガンなどの栄養素を吸収できなくなり、生育に悪影響が出てしまいます。再び酸性土壌に戻したい場合は硫安、塩加、塩安、過石などの酸性肥料やピートモスを使います。しかし一度土壌がアルカリ性になってしまうと、酸性を抑えることよりも土壌改良が難しいので気をつけましょう。
カルシウムが過剰になる
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カルシウムは野菜の生育には欠かせない栄養素ですが、カルシウム過多になるとその他のミネラル分(栄養素)を吸収できなくなるため、さまざまな障害が出てきます。カルシウム分が少ない場合は補うことができますが、多い場合土壌中のカルシウムを除去することは困難です。また土壌中のカルシウムが十分にあっても土壌の乾燥や窒素過多による肥料バランスの崩れからカルシウムが吸収できず、カルシウム欠乏症になる場合もあります。その症状から土壌中のカルシウム分が少ないと判断し、さらに石灰を撒いてしまうと土壌中がカルシウム過多になる場合があります。そういった間違いや以前の石灰使用歴を知るためにも、初めての土地などでは石灰を施す前に土壌診断をすることが大切です。
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石灰の上手な使い方
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苦土石灰は粉状のタイプと粒状のタイプが売られています。一般的に効果の早い粉状のものがよく使われますが、露地栽培で粉が飛ばされやすいなどの心配がある場合は、必要量が分かりやすく撒きやすい粒状のものもおすすめです。
利用する石灰の種類は、土壌の状態と植え付ける植物の適した酸性度(pH)によって選択しましょう。例えば、特に酸性土壌が苦手なホウレンソウやエンドウを酸性土壌に植える場合は、速やかな土壌改良が求められるため、苦土石灰ではなく消石灰を活用するのが効果的。一方ジャガイモは、土壌がアルカリ性に傾くと「そうか病」を起こしやすいため、基本的に石灰を施しませんが、カルシウム不足が気になる場合は中性の硫酸カルシウムを利用するなどが挙げられます。石灰を撒くときは、雨が降る前に撒いて耕すと、降雨後に土としっかり馴染み、ムラなく中和できるのでおすすめです。
石灰はポイントを押さえて使いこなそう
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石灰は酸性に傾いた土壌を中和し、同時に作物に必要な栄養素であるカルシウムを補うことができます。作物によって適した土壌の酸性度(pH)があるのでまずは土壌診断を行い、必要に応じて石灰の種類を選ぶことが大切です。またアルカリに傾きすぎないように適量を守り、植え付ける作物に合わせて使い分けるなどポイントを押さえることで、効果的な活用ができます。また、石灰は単体で土に施すのではなく、石灰を加える際には時期をずらして腐葉土や牛ふん堆肥などの有機質を施すのもおすすめです。有機質は石灰の効き目を緩やかにし、多少多めに施しても植物に害が表れにくくする効果があります。適切な使用で丈夫な植物の生育を促しましょう。
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。