日野に続き、日産、ホンダなど自動車メーカーが相次いで縮小

――中国では不動産不況や米中対立、台湾問題、反スパイ法などのリスクが拡大しています。そこに治安悪化も加わったわけで、日野自動車以外に中国から撤退しようとする企業の動きには、ほかにどんなものがありますか。

担当者 たとえば、日産自動車は今年6月に工場を閉鎖し、ホンダも工場の閉鎖や生産休止を発表するなど、自動車メーカーは相次いで縮小しています。不動産市況の悪化、米中貿易摩擦などで中国国民の消費が落ち込んでいますし、自動車ではEVなどの需要変化が急速に進んでいます。

複層的なサプライチェーンを構築している大手メーカーでは、工場撤退や生産縮小の動きが加速し、協力会社など取引企業の撤退や縮小がさらに進む恐れがあります。

――となると、今後ズバリ、中国から撤退する企業の動きは加速すると思いますか。米大統領選でトランプ氏が当選したら、どうなると分析していますか。

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担当者

 企業が中国から撤退するかどうかは個別企業の判断ですが、政治や経済の先行きはよほど不透明にならない限り、中国マーケットの魅力は大きく、一部の撤退はあっても大規模な撤退はないと考えます。

ただ、人件費や労働力の観点で言えば、過去のようなメリットは薄まっており、徐々に国内回帰や周辺の東南アジアへの移転が起きてくる可能性はあります。米大統領選については、別途アンケートを実施しておりますので、そちらの公表をお待ち下さい。

――進出企業を中心とした日本と中国の関係の一番の課題は何でしょうか。

担当者 現地駐在員の不安は高まっています。治安の悪化など、生活と生命の安全面で危機が深まると、今後は本格的に駐在員の帰国を促す企業が増えると思います。政治的な側面もありますが、中国政府のしっかりした外国人への安全対策、警備強化が待たれます。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)