日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸で花に携わってきた谷中直子がご紹介いたします。
毎月、旬の雰囲気を楽しめる花をピックアップして最後の一輪まで楽しみつくす、そんな花のあしらいのお話です。
2024年4月19日から二十四節気は穀雨に
穀雨(こくう)とは、穀物を潤す春雨が降るころを表した、春最後の節気です。
早いもので、次はもう夏の節気がやってきます。
4月も中旬になると夏日も珍しくなく、初夏の気分を感じることも。
そんな、春と夏の間をつなぐような穀雨に、フレッシュな印象の「アルストロメリア」をいけてみようと思います。
次の季節をイメージした花を飾って、ひと足早く部屋に初夏の雰囲気を取り入れましょう。
ボリューム感のある花姿を楽しむ
アルストロメリアは一年中出回る花ですが、4月から6月が最盛期。
1本に何輪も花が付くのでボリューム感があって、しかも日持ちのよいお得な花です。花びらの一部に縞模様(スポット)が入るタイプが多く、さまざまなパターンの花が存在しています。
そんな、たくさんのカラーバリエーションがあるアルストロメリアですが、今回選んだのは少し珍しい、小輪で段咲きの「パール」という品種で、スポットが無くその名の通り上品な白い花が特徴です。
すらりとした姿とすっきりした茎を活かしたくて、ガラスの花瓶に斜めにいけてみました。
たくさんの本数に見えますが、花は4本だけしか使っていません。
しかも、花の頭を揃えていけるだけで、丁寧に束ねたブーケのように見えるので、プロっぽい仕上がりに。
アルストロメリアだけでも素敵なのですが、今回は「アルストロメリア・バリエガータ」という、斑入りの美しい葉を楽しむ品種をパールと合わせてみました。
こんな風に少し葉を加えると、よりフレッシュな印象になりますので、いろいろな葉でお試しくださいね。
アルストロメリアはとても水あげのよい花ですが、より長持ちさせるためにも他の花と同じように水を替えるタイミングで少しずつ切り戻しましょう。
そして、お手入れで少し短くなってきたら、器を変えてみませんか?
ここではシリンダータイプの花瓶に変えてざっくりといけてみました。
アルストロメリアのように上部にボリュームがある花は、こうした口が広い器でもバランスが取りやすいです。
少し離れて全体を確認しながら長さを調節して、ベストなバランスを見つけましょう。花の長さに迷った時は、全体で見たときに花と器の高さが1対1程度の長さにするのもおすすめです。
他にもいけかえるタイミングで2枚目の写真のようにアルストロメリアだけにして、小さな花の美しさをじっくり楽しんでみるのも素敵です。
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個性的な花に挑戦
珍しい「フリチラリア・インペリアリス」という、ヨウラクユリや王冠ユリとも呼ばれるユリの仲間の花を加えてみました。
小輪タイプのアルストロメリアは花が小さな分、まるで葉もののように個性的な花と合わせてもなじみます。
フリチラリア・インペリアリスは色も形も個性的なので、あえてアシメントリーにいけて、花の個性が活きるように目立たせました。
普段は手を出しにくい花も、組み合わせ次第で意外な発見があるかもしれません。