今すぐ取り入れられる!若返りやエイジング対策に効果抜群の食べ物とは?

野菜を食べることは健康にいい、そんなことはなんとなくわかっている。でも、どうしてなのかを改めて確認していきましょう。

今回は、『予防医学の名医が教える すごい野菜の話』一石英一郎著(飛鳥新社)を紹介します。

読み終える頃には、野菜の驚くべき効果を知り、すぐにでも食生活に取り入れたくなるでしょう!

▶前回:「ToDoリスト」は捨てていい。タスク管理を完璧にしても、結局“時間が足りない”ワケ

▼INDEX

1. 長寿の人が特に多いことで知られる地域=ブルー・ゾーン

2. ブルー・ゾーンに住む人々に共通すること

3. 野菜は天然の薬箱

4. 本書のココがすごい!



1. 長寿の人が特に多いことで知られる地域=ブルー・ゾーン



「ブルー・ゾーン」という言葉を聞いたことがありますか?

イタリアのサルデーニャ島やコスタリカのニコヤ半島など、100歳を超える長寿の人が特に多いことで知られる地域のことを指し、最近注目を集めています。沖縄もそのひとつです。

「ブルー・ゾーン」という名称は、ベルギーの人口学者ミシェル・プーランが、イタリア・サルデーニャ島のある地域を、長寿者が多いエリアとして地図上で青くマーキングしたことに由来します。

こうした地域の人々は、なぜそれほどまでに長寿なのでしょうか。

その要因のひとつが野菜の中心の食事です。



2. ブルー・ゾーンに住む人々に共通すること



研究によると、これらの地域に共通する、長寿の原因と考えられる要素としては、以下の9つが挙げられます。

① よく体を動かしている。規則的に運動している。

② 生きがいや目的がある。

③ ストレスが少ない。

④ 満腹を感じるまで食べない。

⑤ 野菜中心の食事。

⑥ 適量のお酒をたしなむ。

⑦ 社会的なグループの活動に参加する。

⑧ 宗教のグループ活動に参加する。

⑨ 家族、親族とのつながりが強い。

身も心も健康でいられるためには、社会的・環境的条件も含め、さまざまな要因が健康リスクを減らしていると考えられますが、私としては「⑤野菜中心の食事」に注目せざるを得ません。

野菜には非常に大きな力があります。その源泉は植物の生存戦略にあります。

植物は動物と違って、逃げることも隠れることもできません。有害な紫外線や土中の病原菌、害獣や害虫から、自らの力で身を守る必要があります。そのため、植物は紫外線による酸化防止や殺菌、解毒、害虫の駆除などに役立つさまざまな成分を、自ら生み出しています。

私たちは野菜を食べることで、こうした有益な成分を体内に摂り入れることができるのです。

では、各地域ごとに、食生活を中心にざっと見ていきましょう。

長寿の国では一体何を食べているのか?



長寿の国々では一体どのような食事がされているのでしょうか。

まず、サルデーニャ島では主にジャガイモ、トマト、フェンネルなどが食されています。フェンネルはセリ科の多年草で、日本ではウイキョウとして知られているハーブの一種です。

また、ブラックベリーやミルト酒など、サルデーニャの森に自生するハーブを取り入れることで、多量のポリフェノールを摂取しており、これが長寿と関係していると考えられます。

沖縄では、いわゆる「島野菜」が有名です。言わずと知れたゴーヤーをはじめ、琉球ヨモギ(フーチバー)、チョーミグサなど、多様な野菜が豊富に存在しています。

一方、ロマリンダはアメリカ・カリフォルニア州にある村で、ここではトマトや種子植物、マメ科植物を中心とした食生活が営まれています。

地中海沿岸や亜熱帯地方であれば、「健康」や「長寿」のイメージと結びつけやすいですが、なぜアメリカ、それもこの地域だけが長寿を誇っているのでしょうか。同じカリフォルニア州の他地域に住む人々と比べると、この村の住民は平均寿命が10年も長いのです。

その秘密は、多くの住民が持つ信仰にあります。この村はセブンスデー・アドベンチスト教会というキリスト教プロテスタントの一派が作った村であり、信仰上の理由から菜食主義が徹底されています。

ニコヤ半島は中米コスタリカにあり、イグアナが生息している地域として知られています。ここでも、カボチャ、トウモロコシ、全粒穀物などが中心の食事をしています。

住民の多くはアメリカ大陸の先住民であるモンゴロイドであり、マヤ文明やアステカ文明から伝わる長寿の知恵を受け継いでいるのではないかという見方もあります。

最後にイカリア島ですが、エーゲ海に浮かぶ人口1万人にも満たない小島で、ヨーロッパの他地域と比べて90歳以上の人口比率が10倍近いことで知られています。

調査時点では、70歳以上の高齢者の中に、認知症を発症している人が1人も見られなかったという点も驚くべきことです。

ここでの食事は、季節の野菜、キノコ、豆腐、山羊のチーズなどを中心とした素朴な田舎料理が主流で、肉はあまり食べず、月に一度程度食べることがあるくらいだといいます。

もともと肉が貴重だったため、自然と野菜中心の食生活が根付いたようです。葉物野菜を茹でて、たっぷりのオリーブオイルをかけて食べるのが一般的です。

こうして見ると、野菜中心の食生活こそが健康長寿の秘訣として大きな役割を果たしていることに間違いはなさそうです。

そもそも、なぜ野菜を食べることが体に良いのでしょうか。その理由のひとつは「抗酸化作用」にあります。抗酸化作用とは、体を錆びつかせ老化を促進させる「活性酸素」を抑える働きのこと。その抗酸化作用を持つ成分が、さまざまな野菜に多量に含まれているということです。

また、ブルーゾーンと呼ばれる多くの地域は紫外線が強い場所でもあるため、そこで生育する植物はアントシアニンなどの抗酸化成分を多く産生します。これらの成分を積極的に摂取することで、老化を防ぎ、長寿につながっていると考えられます。



3. 野菜は天然の薬箱



野菜の持つパワーは無尽蔵であり、それ自体が天然の薬箱と言ってもいいほどです。野菜に秘められた薬効を本書から3つ取り上げて紹介します。



①ブロッコリーに含まれるNMNで若返る



色々な実験から動物でもヒトにおいて、NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)を摂取することで、明らかな若返りの兆候を示すことがわかっています。

特に高齢者がNMNを服用すると、俊敏な動作が回復するといった結果も報告されています。さらに、アルツハイマー型認知症や心不全などの疾患にも効果があるとされており、まさに若返りの効果が期待されます。

では、そのNMNは何を食べれば補給できるのでしょうか。実は、肉類や魚介類にはあまり含まれていません。

野菜や果物には比較的多く含まれ、特に枝豆、アボカドにおける含有量は高いといわれています。また最近になって、実はブロッコリーがこのNMNをとりわけ豊富に含んでいることがわかってきました。

昔からブロッコリーは、健康野菜ランキングやデザイナーフーズなどにおいても上位に位置づけられていました。デザイナーフーズ・プロジェクトとは、がん予防に効果のある食品をランキングするアメリカの研究です。

たしかにブロッコリーは、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンC、葉酸、カリウム、鉄、βカロテンなど豊富な栄養素を持ち、がん予防に効果のあるスルフォラファンを含んでいます。

ブロッコリーの栄養素リストにNMNも追加すべきです。



②抗酸化作用の成分「リコピン」はトマトで摂る

栄養素が豊富な野菜といえば、トマトもそのひとつです。

トマトに含まれる栄養素で特に有名なのは、あの赤い色のもとになっている色素、リコピンです。リコピンは、βカロテンの仲間であるカロテノイドの一種で、ビタミンEの100倍もの抗酸化作用があることで知られています。

リコピンはトマト以外ではスイカくらいでしか摂取できません。ただし、スイカは夏季限定のため、「リコピンはトマトから摂る」と考えておくのが良いでしょう。

リコピンには抗酸化作用に加え、生活習慣病やがん予防、血糖値の改善、動脈硬化の予防、花粉症の緩和など、さまざまな効能があります。それだけでなく、筋肉の増強にも関与しているとされています。



③ホウレンソウを食べると筋肉ムキムキになるはホント



ホウレンソウの成分の中で注目すべきは、エクジステロンです。これはほぼホウレンソウのみに含まれる成分であり、「筋肉ムキムキ」の「ポパイ伝説」を体現する物質とされています。

エクジステロンを10週間にわたって投与された被験者では、筋肉量の著しい増加や運動パフォーマンスの向上が見られ、ベンチプレスで持ち上げられる重量も大幅に増加したという、ベルリンの薬学研究所の研究結果があります。

「野菜中心の食事」は、すぐに取りかかれる重要なポイントのひとつではないでしょうか。あとは、日々の生活の中でそれをどのように実践していくかが鍵となります。



4. 本書のココがすごい!



今回紹介した『予防医学の名医が教える すごい野菜の話』一石英一郎著(飛鳥新社)のすごいところは下記に集約される。

① 「野菜が体に良い」という、誰もが一度は聞いたことがある知識を、最新の研究結果を紹介しながらわかりやすく説明している。

② 今回は本文では紹介しきれなかったが、「野菜だけを食べなさい」と言っているわけではなく、肉とのバランスなど、食生活全般にも触れており、取り入れやすい内容となっている。

③ 「野菜を摂るべき」とわかっていても、実践できない人も多い。そんな人たちのために、効率よく野菜の栄養を摂れる食べ方やレシピも紹介している。

【著者】 一石英一郎(いちいし・えいいちろう)



1965年生まれ。兵庫県出身。医学博士。国際医療福祉大学病院内科学教授。

京都府立医科大学卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻修了。世界の著名ながん研究者が名を連ねる米国癌学会(AACR)の正会員(Active Member)。

DNAチップ技術を世界でほぼ初めて臨床医学に応用し、論文を発表。人工透析患者の血液の遺伝子レベルでの評価法を開発し、国際特許を取得。長年にわたり、遺伝子の研究をおこなっている。

著者X/https://x.com/ichiishi2



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