近年一人で行動する人が増えており、そうした「おひとりさま」に対しての市場も拡大しつつあります。「ひとり焼肉」や「ひとりライブ」などおひとりさま向けのサービスも盛況であり、その他ユニークなサービスも続々と登場しています。
今回は、そうしたおひとりさま市場の推移やおひとりさま意識の変化、また注目のおひとりさまビジネスについて紹介します。
おひとりさま市場の推移
社会の縮図のイメージイラスト
【画像出典元】「zolotons- stock.adobe.com」
おひとりさま市場は年々拡大傾向にあります。内閣府「少子化社会対策白書 令和4年(2022年)版」によれば、生涯未婚率(50歳時の未婚割合)は1970年に男性1.7%、女性3.3%であったのに対し、2020年には男性28.3%(約16倍)、女性17.8%(約5倍)まで右肩上がりに上昇しています。
また、2020年の未婚率を年齢階級別でみると、男性では25-29歳が72.9%、30-34歳が47.4%、35-39歳が34.5%、女性では25-29歳が62.4%、30-34歳が35.2%、35-39歳が23.6%となっています。
数値を見ても分かるように、結婚をするのが当然であった社会から未婚である人が増え帰宅後や休日に「ひとり」で過ごすことが当たり前の社会になりつつあります。
市場も拡大
おひとりさまをターゲットとした市場・マーケットも拡大しており、矢野経済研究所の「おひとりさま関連市場の動向調査(2020年)」によれば、15分野のうち13分野で成長見込みとされています。例えば「おひとりさま外食市場」での一人来店客の利用金額ベースは、2015年度が6兆8946億円であったのに対し2019年度は7兆9733億円まで拡大しており、おひとりさまビジネスも続々と登場している状況です(詳細は後述)。
(広告の後にも続きます)
ひとり時間についての調査結果
時計に追われる人のイメージ
【画像出典元】「dianagrytsku- stock.adobe.com」
株式会社クロス・マーケティングの「おひとりさま消費に関する調査(2022年)」では、全国47都道府県に在住する20~69歳の男女2500人を対象にひとり時間に関するさまざまなアンケート調査を行っています。このアンケートを結果をみると、世代問わず多くの方が今ひとりの時間を必要としているようです。
以降では、この調査結果の概要を数値を交えながら紹介します。
ひとりで自由に使える時間はある?ない?
「ひとりで自由に使える時間」についてのアンケートでは、平日では71%、休日は79%の人が「ある+どちらかといえばある」と回答しています。年齢の傾向としてあると回答したのは60代の方が特に多く、逆に少ないのは働き盛りの30代となっています。
ひとりで自由に使える時間はどのくらい?
「1日の中でひとりで自由に使える時間」の平均は、平日で4.0時間、休日は6.1時間という結果となっています。年齢傾向としてひとりで自由に使える時間が最も多いのは平日は60代(平均5.2時間)、休日は20代(6.9時間)です。反対にひとりで自由に使える時間が平日・休日共に最も少ないのは40代であり、平日は3.3時間、休日は5.4時間となっています。
ひとりで自由に使える時間の必要性
「ひとりで自由に使える時間の必要性」についてのアンケートでは、「必要」は63%、「どちらかというと必要」は31%となり、合わせて94%の人がひとりの時間を必要と考えているようです。
またひとりで自由に使える時間の増減意向として「増やしたい+どちらかというと増やしたい」が平日・休日共に87%という結果です。特にその傾向が強いのが50代であり、増やしたい+どちらかというと増やしたいの回答は合わせて91%となっています。
なぜひとりの時間を求めているのか
「ひとりで自由につかえる時間が必要な理由」として、以下のような回答が挙がっています。
・誰にも束縛されず、趣味の音楽活動に没頭し、ペットや動物の世話をしたい。
・毎日30分は体を動かす時間を確保したい。
・買い物が好きなので、一人で買い物に行けないとストレスが溜まる。
・コロナ流行で家族が家にいることが多くなり、炊事などの家事が増加してストレスがたまっている。
・介護をする者としてストレスを溜めすぎると、どうしても優しくできなくなってきてお互い辛くなってくる。
・心身の健康維持のためにはひとりで自由に使える時間が必要だと思うから。
出典:おひとりさま消費に関する調査(2022年)より
ひとりでやりたいことがあるという人もいれば、ストレスを溜めすぎないためにひとりの時間を必要としている人もいるようです。