3.公益財団法人のメリット・デメリット

公益財団法人を運営するメリット・デメリットには、次のようなことが挙げられます。

メリット1:社会的な信用度が上がる

公益財団法人となるには、国や都道府県による認定が必要です。公益財団法人は厳しい審査を通過したことにより、その活動の社会的意義や信頼性の証明につながるため、ほかの非営利法人や一般法人と比べて高い評価を受けやすいといえます。

メリット2:税制優遇がある

通常、法人が事業をおこない得た収益には法人税が課されますが、公益財団法人がおこなう公益目的事業の場合は非課税となります。

また、公益財団法人に個人や法人が寄付した場合には、所得税や法人税において寄付金控除などの税制優遇を受けられるため、組織外からの支援を受けやすくなるメリットもあります。

デメリット1:設立・運営のハードルが高い

公益財団法人を設立するには、まず一般財団法人を設立し、その後、公益性を証明するために内閣府または都道府県から公益認定を受ける必要があります。認定基準は厳しく、とくに財産の保有状況や事業の透明性、収益の分配に関して高い基準を満たすことが求められます。そのため、設立にあたっては多くの準備と審査対応が必要です。

また認定後についても、定期的に事業や財務状況の報告をおこなう必要があり、運営コストがかかります。さらに適切な運営を証明するため、監督機関(内閣府や都道府県)による立ち入り検査の実施や報告が求められます。

デメリット2:事業内容に制限がある

公益財団法人がおこなえる公益目的事業の内容は、学術・芸術・技術・慈善などの特定の分野に限られています。収益事業はより柔軟な運営が認められていますが、公益目的事業の実施に支障をきたさない範囲に限定されます。

なお、設立時に定めた事業内容や運営方針を途中で変更する場合には、行政庁に対して変更申請の手続きが必要であり、容易に変更できるものではありません。

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4.公益財団法人とほかの法人との違い 

公益社団法人(公社)との違い

公益社団法人(略称:公社)は公益財団法人と同じ公益法人の一種で、行政庁の認定を受けて成立します。

2つの法人の主な違いは、組織の成り立ち方です。公益財団法人は一定の“財産”を基に設立されますが、公益社団法人は“社員”(個人または法人)が集まり、共同の目的を達成するために設立されます。設立時、公益財団法人には一定額以上の拠出金が必要ですが、公益社団法人には必要ありません。

公益目的事業の23分野や収益事業の34分野については、公益財団法人と同様です。また、公益法人として受けられる税制優遇、寄付を受ける際にも税制上のメリットがある点も同様となります。

一般社団法人(一社)・一般財団法人(一財)との違い

一般社団法人(略称:一社)と一般財団法人(略称:一財)は、営利を目的としない民間の法人です。公益財団法人との主な違いは「公益性の認定」「活動内容の制限」「税制上の優遇措置」にあります。

〈公益性の認定〉

一般社団法人と一般財団法人(合わせて一般法人と呼ぶ)は、行政庁による公益性の認定を受ける必要はありません。法務局へ設立登記を申請することにより、比較的容易に設立が可能です。

〈活動内容の制限〉

一般法人は設立時に定款で定めた事業であれば、自由に活動できます。そのため、必ずしも公益性の高い活動をおこなう必要はありません。例えば同窓会やサークルなど構成員の利益を目的にした活動や、収益事業をおこなうことも可能です。

〈税制上の優遇措置〉

一般法人の「営利型」と「非営利型」どちらを選ぶかによって変わります。営利型の場合、株式会社と同様に事業で得られたすべての利益に法人税が課されます。一方、非営利型は公益法人同様に一定の要件が定められていますが、それを満たせば収益事業以外の法人税が非課税となります。

NPO法人との違い

NPO法人(特定非営利活動法人)は、公益財団法人と同じく公益性を重視した非営利法人の一種ですが、活動内容や設立手続きなどにおいていくつか違いがあります。

NPO法人がおこなう主な事業は、教育や福祉、環境保護、地域振興、国際協力などの法律で定められた20分野に限られています。

設立手続きについては、所轄庁(都道府県や政令指定都市)に対して申請します。財産や資本金の準備は不要で、資金面のハードルが比較的低いのが特徴です。ただし、最低でも10人以上の社員を確保する必要があり、設立申請から認証まで2〜4ヶ月程度かかります。