1.作業療法士の離職率の目安

作業療法士に限定した離職率のデータは公表されていませんが、厚生労働省が毎年実施している雇用動向調査から、作業療法士を含む「医療・福祉」分野における離職率を紹介します。作業療法士の離職率の目安にしてみてください。

なお、医療業には病院や診療所、鍼灸施術所などが含まれます。社会保険・社会福祉・介護事業には、保育所などの児童福祉施設や老人ホームなどの介護老人福祉施設、障がい者グループホームなどの障がい者福祉施設が含まれます。

 

医療業

社会保険・社会福祉・介護事業

全産業

男女計

15.2%

13.9%

15.4%

男性

13.5%

18.0%

13.8%

女性

15.8%

12.5%

17.3%

厚生労働省|令和5年雇用動向調査結果より作成

最も離職率が高かったのは、社会保険・社会福祉・介護事業で働く男性の18.0%でした。反対に、同じ分野で働く女性の離職率は上記データの中で最も低い点が特徴です。

次に、雇用形態別の離職率を見てみましょう。

   

医療業

社会保険・社会福祉・介護事業

全産業

男女計

常勤

13.5%

13.0%

12.1%

パート・アルバイト

​​21.0%

15.3%

23.8%

男性

常勤

12.2%

14.1%

10.9%

パート・アルバイト

20.6%

29.7%

30.3%

女性

常勤

14.0%

12.5%

14.2%

パート・アルバイト

21.1%

12.5%

21.3%

厚生労働省|令和5年雇用動向調査より作成

雇用形態別では、いずれの産業も常勤よりパート・アルバイトの離職率が高いという結果でした。​​社会保険・社会福祉・介護事業でパート・アルバイトとして働く男性の離職率が29.7%と高いですが、これは全産業のパート・アルバイト男性の傾向とも一致しています。

男女別で見ると、医療業において女性が男性よりも離職率が高いという結果でした。

作業療法士の平均勤続年数の目安

続いて、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士の3リハ職の平均勤続年数を、事業所の規模別に見てみましょう。


厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査より作成

10〜99人の事業所の勤続年数が最も短く、100〜999人規模の事業所と比べると約2年の差がみられます。

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2.作業療法士の退職理由


厚生労働省|令和5年雇用動向調査より作成

*パート労働者以外の一般労働者のデータ

医療・福祉分野で働く人の退職理由で最も多かったのは、男女ともに「その他個人的理由」でした。これには、給料や人間関係、スキルアップなど以下で紹介する内容が該当します。

給料

給料は働くモチベーションにもなるため、業務内容と給料が見合わない、昇給が見込めないと働く意欲の低下につながります。給料は職場のサービス形態や地域によっても異なります。

人間関係

同僚や患者、利用者などとの対人業務がメインとなる作業療法士の仕事では、人間関係が悩みの種となって辞める人もいます。上司などに相談しても解決できず状況が改善しない場合は、転職もやむを得ないでしょう。

キャリア・スキルアップ

より専門的なスキルや経験を積むために転職を選ぶ人もいます。管理職を経験したい、幅広い領域にチャレンジしたいなど前向きな退職理由は、転職面接でも、意欲を評価されることでしょう。

ワークライフバランス

仕事とプライベートとの両立がしづらいと、離職につながることも少なくありません。とくに、作業療法士は女性が約6割、男性は約4割と女性のほうが多い職種です。ライフステージの変化に応じて働き方の変更を希望する人もいるでしょう。

医療・福祉分野における離職理由のうち、「結婚」「出産・育児」「介護・看護」はとくに女性の割合が多い点が特徴です。