日銀の利上げで奨学金の利率は変わる?
奨学金の金利は毎月公表されています。では、この金利はどのように決まるのでしょうか。奨学金の利息の算定方法は、利率固定方式と利率見直し方式があることは前述の通りですが、これらの金利は国債の利回りを指標に決められています。
利率固定方式の場合は「10年物国債利回り」、利率見直し方式の場合は「5年物国債利回り」が指標です。奨学金の金利の行方を知りたい場合は、日々の国債の利回りをチェックしておくとよいでしょう。
国債の利回りは世の中の景気動向に左右され変化していきます。本来は市場による国債の需給によって利回りが変化するものですが、これまで日銀が金融政策として一定の関与をしてきた経緯があり、金利が低く保たれていました。しかし、2023年頃から日銀の政策変更によって徐々に国債の利回りが上昇傾向にあります。
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【シミュレーション】利率見直し方式、金利上昇で返済額はいくら増える?
5年ごとに利率が見直される利率見直し方式で返済する場合、金利上昇が続くと負担はどれくらい増えるのでしょうか。まずは現在(2024年8月の貸与利率)の利率固定方式の返済額を確認したうえで、利率見直し方式で金利が上昇した場合の負担をシミュレーションしていきましょう。
【前提条件】
・借入総額:384万円(月8万円×4年間)
・返還期間:20年
※据え置き期間の利息を考慮せずに試算
利率固定方式(金利1.210%・2024年8月利率)
金利1.210%で試算すると、月返済額と利息総額はこのようになります。
月返済額:1万8022円
利息総額:約48万500円
次に、利率見直し方式で金利が5年ごとに0.5%、0.75%、1%ずつ上昇した場合の返済負担と比較するとどうでしょうか。
利率見直し方式(金利0.5%・2024年8月利率)
5年ごとに0.5%上昇する場合
当初~:0.5%
6年目~:1%
11年目~:1.5%
16年目~:2%
月返済額:(当初)1万6817~(16年目以降)1万8111円
利息総額:約37万6000円
のケースでは、最終的に2%まで金利が上がっても利率固定方式より10万9000円返済額が少ないことが分かります。
5年ごとに0.75%上昇した場合
当初~:0.5%
6年目~:1.25%
11年目~:2%
16年目~:2.75%
月返済額:(当初)1万6817~(16年目以降)1万8785円
利息総額:約46万9000円
のケースでは、最終的に2.75%まで金利が上がりますが、それでも利率固定方式より1万6000円返済額が少なくなります。
5年ごとに1%上昇した場合
当初~:0.5%
6年目~:1.5%
11年目~:2.5%
16年目:~3%(上限)
月返済額:(返済当初)1万6817~(16年目以降)1万9239円
利息総額:約54万9000円
のケースでは、最終的に上辺の3%まで金利が上がることによって、利率固定方式より6万4000円返済額が多くなります。
今後の金利上昇のペースは誰にも分かりませんが、まずは参考にしてください。なお借入金額が多くなるほど、返済期間が長くなるほど、金利の負担総額は重くなります。