退職金が振り込まれた後にはやるべきこと・注意すべきこともあります。本記事では、ファイナンシャルプランナー三原由紀氏による著書『定年後に後悔しないお金の大正解100』(永岡書店)から一部を抜粋・再編集し、退職前に知っておきたい情報をQ&A形式で解説します。
Q. 退職金でまとまったお金が入ってきた場合、まずするべきことは何?
A. 退職金や年金などを含めた資産の棚卸しをしましょう
一般的な退職金の額は数百~数千万円という大きなものになります。いざ手に入ると、ついつい気分が大きくなってしまい、「今まで働いてきたご褒美だ、好きなことにパーッと使おう」などと深い考えもなく散財してしまうおそれがあります。
しかし、退職金は好きなように使える余裕資金ではなく、老後に安定した生活を送るための貴重な資金であることを十分に意識しておきましょう。
まずは、老後に受け取る年金やこれまで蓄えてきた預貯金、運用してきた株式などの投資商品をチェックして、どれだけのお金を確保できるのかを計算しましょう。老後の生活を送るのに十分な額なのかをしっかりと確認することが大切です。
「退職金特別プラン」などの金融商品には要注意!
そうした資産の棚卸しを行った結果、老後の生活を送るうえで十分な資産があるのなら、リスクのある資産運用をあえて行う必要はありません。とりわけ用心しなければならないのは、銀行などの金融機関が退職金の使い道として種々の投資をすすめる、いわゆる「退職金特別プラン」です。
退職金が銀行の口座に振り込まれると、「商品の中身についてご説明したいので、1度、ぜひ店舗にいらしてください」などと営業電話がかかってくるケースが往々にしてあります。
しかし、投資に関する知識が不十分なままで対応すると、言葉巧みにいいくるめられて適切ではないリスクの高い金融商品を買わされてしまい、大きな損失を被って後悔することになりかねません。
退職金特別プランに限らず、投資を考える場合は、自分自身で可能な限り勉強をしたり、専門家に相談したりするなどして、十分な準備を行いましょう。決して丸腰では臨まないことが不可欠です。
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Q. 退職してから再就職するまでの生活費はどうすればいい?
A. 失業保険を申請しましょう
退職して再就職先が決まっていないときは、一定の条件を満たすと「失業保険」をもらうことができます。正式には雇用保険の失業等給付の求職者給付の基本手当といわれる制度です。失業したり雇用の継続が困難となった場合などに、その生活と雇用の安定を図り、再就職を促すために必要な給付が行われ、定年退職でももらえます。
雇用保険に入っているかについては、給与からの雇用保険料の天引きの有無を確認するか、ハローワークに出向いて確認しましょう。
また、雇用保険の失業等給付は大別すると4種類に分けられます[図表1]。失業保険の基本手当は①求職者給付に該当します。それ以外に、②就職促進給付、③教育訓練給付、④雇用継続給付があります。
三原 由紀
プレ定年専門FP®