現代社会において、多くの女性は「生きづらさ」を感じている。家庭、仕事、そして自分自身への期待との狭間で、自分を責めてしまうこともしばしば。しかし、自分を慈しむセルフ・コンパッションを取り入れると、自己批判から解放され、自己肯定感を高めることができ、心の余裕を取り戻すことができる。セルフ・コンパッションとは何かを解説しながら、実践に役立つおすすめの書籍を紹介する。
「自分を大切にする」新しいスタイル
セルフ・コンパッション研究の第一人者であり、現在、テキサス大学オースティン校の准教授を勤めるクリスティン・ネフ氏によれば、コンパッションとは、苦しみの原因を理解し、それを乗り越えるために何ができるかを考え、行動に移すことを指す。一方でセルフ・コンパッションは、自分の困難に対して、優しさ(自分を受け容れる)と強さ(困難に立ち向かう)の両方を発揮して行動することをいう。
自分を癒やすための「優しさ」と、苦しみを乗り越えて成長や自信を得るための「強さ」の両方が必要で、この方法により自己批判が減り、心理的な安定が得られるとされている(『自分を解き放つセルフ・コンパッション』より)。
また、似た概念にマインドフルネスがあるが、こちらは「今この瞬間」に意識を集中し、感情や思考をただ観察することに重きを置く一方で、セルフ・コンパッションは自分に優しく接することを強調し、自己肯定感を高めることを目指している。
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セルフ・コンパッションは特に女性に必要
女性は社会的な役割や期待から、自己評価が厳しくなりやすい傾向がある。職場において女性は、まるでマスコットのような役割を演じさせられることもあった。「仕事での成功」を掲げ、さらに「完璧な母親」を目指し、「外見の美しさ」も気にかけるなど、日々、さまざまなプレッシャーが重なり、どんどん自己批判が強くなってしまうのだ。
クリスティン・ネフ氏は、著書で以下のように記している。
「歴史上の現時点において、とりわけ女性にセルフ・コンパッションが必要だと考えています。女性は男性からのマンスプレーニング(mansplaining:男性が女性に対して見下した態度で説明やアドバイスをすること)を受け、無能であるかのように扱われることにうんざりしています。私たちは今こそ、適切な報酬を受け取り、ビジネスでも政治の世界でも、国際的なリーダーとして、男性と同等の権力や発言権を持たなければなりません」(『自分を解き放つセルフ・コンパッション』より)
セルフ・コンパッションは、さまざまなプレッシャーからあなたを解放し、自分を大切に扱うことで、心のバランスを保つ手助けとなるだろう。
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