伝統的なジェンダーロールへの回帰か
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そんな中、今年アメリカの女性にまつわるあるトレンドがSNSを中心ににわかに話題になっています。それは「トラッド・ワイフ」への回帰です。
トラッド・ワイフとは伝統的な妻の形態を指します。世帯主の男性(夫)が家の外で働き、女性(妻)は家の外で働かない、つまり専業主婦であるということ。伝統的な社会では男性が大黒柱で、家計やライフスタイルなど家のことに関する決定権を持っていました。アメリカでは20世紀半ばごろまでの白人社会を中心とした価値観だと言われています。なぜ白人社会なのかと言えば、当時から有色人種の女性は外に働きに出ることが当たり前で、彼女たちは白人家庭の家政婦や料理人、ベビーシッターなどとして活躍してきたからです。
このトラッド・ワイフへの回帰については、米ニュースチャンネルCNBCも報じています。男性が世帯主であるならば、女性の中には完全に仕事を辞める女性が増えているといいます。つまりトラッド・ワイフやステイアットホーム・ガールフレンド(巣篭もりの彼女、仕事を持たない彼女)がSNSを中心にトレンドとなっていて、伝統的なジェンダーロール(性別に基づいた役割)に回帰する傾向が見られるというのです。
女性が仕事を辞める理由はさまざまですが、大きな理由の一つに「職業上の競争のプレッシャーからの解放を求めて」というのもあるようです。仕事上でのプレッシャーは日本同様ですね。
ただしトラッド・ワイフやステイアットホーム・ガールフレンドになることは女性にとっていいことばかりではないと専門家は警鐘を鳴らします。自分で稼がないことで経済的自立ができないというのは、自由がなくなり社会からも隔離されることに繋がりかねないとのこと。何事も一長一短。仕事をしない(職場からのプレッシャーに解放された)バラ色の人生というのはそれほど容易いことではないのかもしれません。