多くの夫婦が離婚をするときに「協議離婚」を成立させています。協議離婚とは、話し合いにより成立する離婚のことです。しかし、はじめからお互いの考えが一致することは少なく、決して簡単ではありません。離婚の話し合いをするときは、成功させるために適した場所を選択し、第三者の同席など事前準備をしておくべきです。本記事では、離婚の話し合いをする際のポイントを、Authense法律事務所の離婚問題に精通する白谷英恵弁護士が解説します。
1.話し合いは、カフェやファミレス/夫婦どちらかの実家で
離婚の話し合いをするなら、カフェやファミレスといったオープンな場所か、夫婦どちらかの実家を選びましょう。
オープンな場所なら感情的にならずに話し合いを進められる
離婚の話し合いを夫婦だけで行う場合は、お互い感情的にならず冷静に話し合いを進めるためにもオープンな場所を選択すべきです。人目のつかない場所であると、ヒートアップしてしまった場合、収拾がつかなくなることもあります。思ってもいない気持ちを投げつけてしまうことで、関係を修復するのが困難となる可能性も考えないといけません。人目のつく場所であれば言葉や態度を選んで建設的な話し合いを行えるものです。
離婚の話し合いは問題について焦点を合わせ、夫婦関係の修復や復縁のための話もできます。感情的に気持ちを先行させてしまうと論理的な話はできません。
離婚の話し合いをするということは非常に大変で、体力が必要です。双方の希望の内容が最初から合致しているということは稀で、いつまでも話が平行線で進まないことや、ヒートアップして冷静に話を進めることができないなど、問題はたくさんあります。離婚の話し合いを円滑に進めるために大切なのが場所選びです。
たとえばDVが問題で別れたいと考えている場合、人目のある場所で話し合いをしたほうがよいのか、第三者同席のもとで話をしたほうがよいのかなど、場所や環境の選び方で話し合いがスムーズになりますので、離婚の話し合いに適した場所を選ぶようにしましょう。
なるべくお酒は控える
居酒屋やホテルのラウンジで話をするという場合、あまりお酒を飲み過ぎないようにしましょう。建設的な話し合いができなくなる可能性もありますし、せっかく話し合った内容が酔っていたからといって無駄になってしまうケースもありますので、飲み過ぎには注意です。
実家や義実家であれば子どもの面倒をみてもらえる
実家や義実家で両親や義両親と一緒に離婚の話し合いをする方法もあります。子どもがいる場合は面倒を見てくれて、落ち着いた環境で離婚の話し合いができます。
しかし、実家や義実家で両親や義両親の立ち合いのもと、離婚の話し合いを行う場合は自分の子どもを信じたいと思う親がほとんどです。夫婦のことに関して必要以上にいわず、平等に物事を見てくれる両親や義両親であるのが望ましいです。
(広告の後にも続きます)
2.第三者の同席は必要か
離婚の話し合いに適した場所がわかったら、次に第三者の同席を検討しましょう。ただ、第三者は誰でもいいというわけではありません。両者の意見を汲み取れる人がいいでしょう。
離婚の話し合いは2人だけで行うのが基本
離婚の話し合いの内容は決して他人に聞かれたい内容ではありません。知られたくない内容についての話をする場合は、特に2人だけで離婚の話し合いを行うのがよいでしょう。感情的にならず、冷静に焦点を合わせて話し合いを行うことで2人だけで解決できることも少なくありません。もちろん、お互いが意見を譲らないのであれば、こじれてしまうこともあります。親権なら親権、慰謝料なら慰謝料だけにフォーカスして話し合いを行うのがポイントになります。
2人きりは気まずい、状況的によくないけれどもあまり人の目につく場所で離婚の話をしたくないという人は、個室のある飲食店で話し合いをしてもよいでしょう。2人で落ち着いて話をすることができますので、離婚の話を進める場合でも、修復の話をするのにも適しています。
感情的になって話し合いが進まない…中立的立場である第三者
離婚の話し合いを行う場合、2人だけで行うのが基本です。しかし、お互いが感情的になって話し合いが進まないと判断した場合、お互いの意見や主張を客観的に聞いてくれる第三者に同席してもらう方法もあります。両親や義両親、仲人、弁護士などの第三者が介してくれることで、自分の気持ちを素直に表現できるようになります。注意点となるのは聞かれたくない内容もあるため、信頼できる相手であるかを見極めることです。
また、第三者には、あくまで中立の立場でいることが大切です。どちらかに肩入れしてしまうと、もう片方へ圧をかけてしまい、フェアな話し合いとはいえません。
第三者に同席を依頼したほうがよい「離婚の原因」
お互いに冷静に話し合いを進めることができるのであれば、第三者の立ち合いは余計な意見が入るだけですので不要ですが、ケースによっては第三者立ち合いのもと、話を進めたほうがよいでしょう。
たとえばDVやモラハラが原因で離婚することになった場合、話し合いの際に暴力を受けることになったり、モラハラを受けて返答することができなくなったりしてしまい、相手に自分の意見を伝えられなくなってしまうということもあります。このようなリスクを避けるため、第三者の立ち合いをお願いしたほうがよいでしょう。また、2人での話し合いでいつまでたっても結論が出ないというケースでも、第三者を交えての話し合いをしたほうがよいかもしれません。
しかし、両親であってもお友人であっても、基本的に知り合い側の味方になって話をすることになりますので、余計話がこじれてしまうことも珍しくありません。話し合いに第三者を交える場合は、基本的に意見を言わないというスタンスで参加してもらったほうがよいでしょう。