アジアには相続税がない国もありますが、日本と韓国の両国とも相続税が存在します。日本に居住している韓国籍の人々も多くいることから、日本において発生する国際相続では、トップクラスであるといっていいでしょう。本連載では、富裕層の国際相続の諸課題について解説します。

相続財産が日韓にある場合の相続税

韓国の相続税の課税関係について見ていきます。

韓国籍で日本に40年以上居住している被相続人Aさんには、日本居住者の子弟で相続人BさんとCさんがいます。BさんとCさんは、Aさんの日本にある財産だけを相続するつもりでしたが、Aさんの親戚からの通知で、Aさんが親から相続した不動産が韓国にあることを知らされました。遺産分割は、BさんとCさんがそれぞれ2分の1ずつです。この場合、相続税の申告に韓国の財産はどのように影響するのでしょうか。

(広告の後にも続きます)

韓国の独特の遺産課税方式

韓国の相続税は、独特の遺産課税方式を採用しています。

その方式は、遺産に課された相続税の総額を、遺産を取得した相続人等がその取得割合に応じて納税義務を負う形です。遺産課税方式を採用している米国の場合であれば、相続人数等にかかわらず、遺産の純額に課税しますが、韓国の場合は米国とも日本とも異なる独自の方式です。

その内容は、被相続人が住所あるいは常用の住居を1年を超えて韓国国内に有している場合、韓国の国内および国外の財産が課税となります。