母親が亡くなり、いよいよ相続手続きをしなくては…
そしてついに昨年、母親が亡くなりました。その間、幸子さんは実家に通って母親の介護をしてきましたが、3年前くらいからいよいよ一人暮らしが大変になり、母親は介護施設に入所しました。実家は空き家となり、預金は弟が管理すると通帳を全部、持って行ってしまいました。
さらに弟に対して不信感が募った幸子さんは許せない気持ちのままですが、父親と同様、母親も遺言書を作成していないため、いまとなって幸子さんと弟の2人で父親と母親の財産について遺産分割協議をしなければなりません。
父親の財産はすでに自宅だけ、母親の財産は自宅と200万円程度の預金。母親の財産についても基礎控除4,200万円以内ですので、相続税の申告は不要です。2人とも同居しておらず、同等の立場ということで、財産は等分に2分の1ずつ分けるというのが幸子さんの希望です。実家も売却して2人で分けるしかありません。
幸子さんは弟とは直に話ができないということで、弟との連絡役として売却等の話をまとめてもらいたいと相談に来られました。
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調停はしたくないが…歩み寄れない。お金の問題じゃない!
幸子さんも、弟も「財産は等分に分けること」、「実家は売却すること」については、異論はないそう。当事者間で事務的に進められそうなものですが、それでは進まないことがわかっています。
15年の間も互いに譲らず、溝ができた姉弟ですので、「姉の言うとおりにするのは気に入らない」「弟が言うとおりではおもしろくない」という感情があり、いまさらその距離が縮まることはないと言えます。
幸子さんは「お金の問題じゃない! 15年前の遺産分割協議書のことから、弟に詫びさせたい」という気持ちが根底にあり、何事も疑心暗鬼となってしまって、決断できないようです。
しかし、空家の実家をそのまま維持することはできないため、当社が幸子さんの窓口となって売却を進めていくよう依頼を受けました。弟は自分で探した弁護士が間に入って連絡窓口になるということで、ようやく売却の話が進みだしたのです。