「遺留分」…遺産の取り分の最小値 

次に相続人が最低限保障される遺産の取り分である「遺留分」について見ていきます。

たとえば、被相続人が見知らぬ他人に遺産のすべてを渡すと遺言書に書いてあったとしても、相続人は最低限度の取り分である遺留分だけは相続することができます。

このような極端な遺言がおこなわれた場合であっても、その遺言が当然に無効になるわけではありません。

相続人は、遺留分を下回った部分について現金の支払いを求めることができます。これを遺留分の侵害額請求といいます。

ただし、侵害額請求をおこなうべき遺贈があったことを知ったときから1年過ぎて請求していなければ、その後は請求できなくなります。

また、遺贈があったことを知らなくても、相続開始日から10年を過ぎてしまえば、侵害額請求をおこなうことができなくなります。

◆遺留分権利者は「配偶者・子・代襲相続人・親」 

遺留分は、配偶者、子どもまたはその代襲相続人、親に認められています。これらの人を遺留分権利者といいます。兄弟姉妹には遺留分は認められていません。

遺留分は、相続開始日以降であれば自由に放棄することができますが、相続開始前に放棄する場合には、家庭裁判所の許可を受けなければなりません。

◆遺留分の割合 

遺留分の割合は、配偶者、子どもまたはその代襲相続人の場合、法定相続分の2分の1です。親のみの場合は、法定相続分の3分の1です。

たとえば、相続人が配偶者と子ども2人の場合、配偶者の遺留分は、法定相続分である2分の1の2分の1、つまり、4分の1となります。子どもたちの遺留分は、法定相続分である4分の1の2分の1、つまり、8分の1となります。

岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)