アジア圏で活躍する一流シェフによって開催される食のサミット「ICSA(インターナショナル・シェフズ・サミット・アジア)」が初めて日本で開催されました。その舞台は栃木県、日光市にある「ザ・リッツ・カール
「ICSA」は、アジアのシェフ同士が互いに学び合い、刺激し合える場を提供し、また、美食家とトップシェフ、そしてラグジュアリーホテルとの橋シェフサミットで、2017年から台湾やシンガポールで開催されてきました。
「ザ・リッツ・カールトン日光」の総支配人、アレクサンダー・ウエストウッド・マックブライドさんによる挨拶で開幕 (@ICSA JAPAN)
今回のサミットでは、トップシェフたちが東京と日光でコラボするイベントの期間中に「ザ・リッツ・カールトン日光」の【レークハウス】でトークセッションが開催され、「料理維新」をテーマに、現在やこれからの食のトレンドについての意見が交わされました。
第一部
- 【Florilege】川手寛康シェフ
- 【傳】長谷川在佑シェフ
- 【FARO】加藤峰子シェフ
- 【JULIA】naoシェフ
第一部では最初に、今回のために考案されたというスペシャルな3つのお皿がサーブされました。
【Florilege】川手シェフによる『カボチャのコンソメ』 (@ICSA JAPAN)
「カボチャをスライスして乾燥させたものを、鰹節で炊くことでとてもピュアなコンソメのようなスープです。中にゼリーも入ってますが、それもこのスープからとったものです。カレー風味に感じられるのは、沖縄で取れたハーブを自分たちでカレー粉のようにしてつくったものをアクセントとして乗せています」
【JULIA】naoシェフによるフィンガーフード (@ICSA JAPAN)
「イカ墨を練り込んだタルトレットの上に昆布のピューレと旬のぶどうを乗せています。ぶどうは低温でローストして甘みを最大限に引き出しました。そこにカルダモンを練り込んだクリームと、カルダモンの風味をつけたアオリイカを薄切りにして乗せて、最後は香りづけに青柚子を削っています」
【FARO】加藤シェフによるアマゾンカカオのデザート (@ICSA JAPAN)
「こちらは、自然に生息するカカオを使用していて、おそらく市場には無いものです。ボリビアにあるアマゾンの深い森の中で自然に育ったカカオを山菜を採るように取りに行き、それをバイオロジストの方が発酵させたものからつくったチョコレートのムースです。やはり人間の手が入っていないだけ、すごくピュアな味わいになっています。人間が、カカオの栽培をするためにアマゾンの森を焼いて、破壊してしまうことがすごく多いのが現状です。自然に存在するものに大きな価値が生まれたらいいなと想い、このケーキをつくりました」
右から川手シェフ、長谷川シェフ、加藤シェフ、naoシェフ (@ICSA JAPAN)
さて、さっそくカンファレンスがスタートです。今回のテーマは「料理維新」とのことで、それを軸にシェフにお話を伺っていきます。
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ーー今回のテーマ「料理維新」について、ご自身ではどんな理解をしていますか?
川手シェフ:「維新」と聞くと「大きな改革をしなきゃいけない」という意味合いを感じさせますが、そもそも料理は、時代と共に変化していくものだと思っています。その中で“今は歩幅が広い時期”という感覚です。料理人は食材を扱ううえで、複雑な自然環境の影響を受けやすい職業なので、歩幅を調整しながら料理を変えていくのは当たり前のことです。僕自身も料理人になって30年ですが、その短い年月で今と昔では大きく違う状況で、それによって料理が変わることは自然なことで、同時に必要不可欠なことだと思います。
長谷川シェフ:川手シェフとは普段からさまざまなことを話しますが、昔僕が学んだ伝統的な日本料理の技法を見て彼が「すごく新しい!」と言ったんです。僕にとっては昔のことだけど、彼にとっては新しい。古いものの中にあるよさを再発見することは「新しい」のか、と面白く感じました。