企業の成長と共に株価が飛躍的に値上がりする銘柄を「ハイパーグロース銘柄」といいます。一見ロマンを感じさせる理想の銘柄のように思われがちですが、こうした銘柄への投資には大きなリスクを伴うのも事実です。本記事では、DAIBOUCHOU氏による著書『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円:10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)より一部抜粋・編集して、ハイパーグロース銘柄の特徴と共に、新NISAで選ぶべき銘柄なのかどうかについても解説します。
ハイパーグロース銘柄は失敗が多い
株価10倍のテンバガーを狙って成長株に投資しようと思っても、銘柄選びはけっこう困難です。
たとえば、MonotaRO(3064)の株価は、2012年1月時点では50円前後だったのが、2021年2月22日には高値3,470円をつけました。何と9年間で69倍超にもなったのです。エムスリー(2413)は、2010年1月時点で130円前後だったのが、2021年1月8日には1万675円まで上昇しました。11年間で82倍です。
このように、企業の成長と共に株価が飛躍的に値上がりする銘柄を「ハイパーグロース銘柄」などと言うのですが、このように何十倍にも値上がりする銘柄を一発勝負で当てにいくのは極めて難しい作業です。
何しろ東京証券取引所には、プライム市場とスタンダード市場だけで3,253銘柄もあるのです。ここからハイパーグロース銘柄を発掘するのは、確かにロマンに溢れているのかも知れませんが、砂漠の中から1本の針を探すようなものです。
では、非常に幸運なことに、この手の銘柄を見つけることができて、実際に自分が投資してから株価が10倍、20倍に値上がりしたとしましょう。
ここで問題になるのが、「長期投資バイアス」です。「新NISAは長期投資のための制度だから、ずっと持ち続けなければならない」などと思った時点で、あなたは大損を被るリスクを抱え込むことになります。
先ほどのエムスリーは、11年間で株価が82倍になりましたが、下げっぷりもまた大変なものです。2021年1月8日には1万675円まで上昇した株価は、2024年5月1日時点で1,610円まで下落しました。
2018年12月の押し目である1,350円あたりで購入し、そのまま持ち続けていた人は、評価益で一時的に大金持ちになった気分を味わったわけですが、そこから儲けたお金がどんどん溶けていく時の、非常に絶望的な気分をたっぷり味わうことになったのです。
確かに、2024年5月1日時点の株価を見れば、買値を上回っているものの、一時は9,000円以上あった利益が、たったの260円になってしまいました。これを1,000株持っていたとしたら、900万円以上あった利益が26万円になってしまったことになります。
実際にこれを経験したら、二度と株式投資などするもんかと思うのではないでしょうか。
このように、ハイパーグロース銘柄を含む成長株投資は、大きな値上がりが期待できる反面、株価がピークを付けた後、大きく値下がりするリスクとも背中合わせなのです。
つまり、新NISAの成長投資枠で、長期保有を前提にするとしたら、これはやはり不向きであると言わざるを得ないでしょう。
専業投資家インフルエンサー
DAIBOUCHOU
※本記事は『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円: 10日で学ぶ10年10倍株の探し方』(東洋経済新報社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。記載内容は当時のものであり、また、投資の結果等に編集部は一切の責任を負いません。