米を研ぐためのボウルの他に、スッカラも一緒に買いました。
韓国の民芸に触れた旅。
この夏、久しぶりに韓国ソウルに旅行し、以前から気になっていた古美術の街「踏十里(タッシンリ)」を訪れることができました。駅の近くに古いビル棟がいくつもあり、その中に200店舗ほどの骨董(道具)屋がひしめきあっているという不思議なエリアです。100年以上、もしくは数百年前のいわゆる骨董品もありますが、昔の庶民の生活道具や家具が店の内外にびっしり置かれているので、宝探し的な楽しみがあります。そのビルの一階に、日本の骨董店のオーナーたちがよく訪れるという『香美堂(ヒャンミダン)』というお店があり、あちこち物色していると、片隅に渋い色合いの、木製のボウルのようなものを見つけました。お店の方に話を聞くと、これは米を洗う道具とのこと。直径40cmくらいのかなり大きめの器で、その使い込まれた光沢感に一目惚れして、衝動買いしてしまいました。内側に5本の筋のようなものが刻まれているのですが、これは想像するに、米を研ぐときのひっかかりになるものなのでしょう。まさに生活のための道具、という感じにぐっときます。米は(たぶん)洗わないけれど、雑貨入れに使うと楽しそうです。今号でもたくさん取り上げていますが、「民芸的な美しいもの」は、世界中どこでも見つけられるものなんだ、と実感した夏旅となりました。
(本誌編集部/KK)
&Premium No. 132 Folk Crafts & Art / 暮らしを楽しむ、手仕事と民芸。
地域に根ざした人々の生活のなかで生まれた民芸や、作り手の思いが込められた手仕事の日用品。歴史と伝統のなかで育まれた技術によって作りだされる、美しい暮らしの道具。その魅力をていねいに感じ取り、いまのライフスタイルに上手に取り入れていくことは、これからのBetter Lifeをより心地よく、温かなものにしてくれるのではないでしょうか。来年は柳宗悦らが提唱した「民藝」という言葉が生まれてから100年を迎える節目の年。私たちを取り巻く社会もテクノロジーも大きく変化していくなか、あらためてその心と楽しみについても見つめ直してみたいと思います。
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