3.義肢装具士になるには

3-1.国家試験に合格する必要がある

義肢装具士になるには、国家試験に合格して厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。国家試験の受験資格を得るためのルートは、大きく分けて3つあります。

A【指定の養成校ルート(大学・専門学校)】

高校を卒業後、全国に10校ある(2021年1月時点)養成校(大学・専門学校)で3年以上の課程を修了するルート。

B【大学・短大・高等専門学校卒業後の養成校(2年間)ルート】

義肢装具士関連過程のない4年制大学や短期大学、高等専門学校などを卒業し、義肢装具士養成校で2年間の過程を修了するルート。実際には2年制の養成校はないため、4年制(大学)か3年制(専門学校)の養成校に通う必要があります。

C【外国の義肢装具士養成学校を卒業するルート】

外国の義肢装具士養成所で訓練を積んだり、外国の義肢装具士免許を取得したりしたうえで、厚生労働大臣の認定を受けるルート。

3-2.国家試験の概要と合格率

義肢装具士の国家試験は一般問題を1問1点、実地問題を1問2点とした合計130点満点で、78点以上で合格となります。

2024年2月22日(木)に実施された「第37回義肢装具士国家試験」の受験者数や合格率は次のとおりです。

第37回義肢装具士国家試験 結果

合格発表:2024年3月26日(火)受験者数:194人合格者数:154人合格率:79.4%

参考:厚生労働省|第37回義肢装具士国家試験の合格発表について


参考:厚生労働省|義肢装具士国家試験の合格発表(第33回、第34回、第35回、第36回、第37回)より作成

義肢装具士国家試験の合格率は2020年から下降し、2022年は70%を下回りましたが、2023年以降80%前後に回復しています。

3-3.養成校の種類と特徴

紹介した3つのルートでもっとも一般的なのは、Aの「指定の養成校ルート」となります。養成校には4年制の大学と3年制の専門学校の2種類があるため、それぞれの特徴を理解して目的にあった進路を選択しましょう。

4年制の大学

義肢装具士としてのカリキュラムのほか、学士課程に在籍する学生として一般教養も学べます。他学科で医療職を目指す学生と交流することもできます。

3年制の専門学校

義肢装具士としての職業訓練に特化したカリキュラムを学べます。4年制の大学と比較して卒業までの期間が1年短い分、学費も安いのが特徴です。

養成校の名称と所在地

2021年1月時点で全国に10校(大学4校・専門学校6校)の養成校があります。

<大学>・北海道科学大学 保健医療学部(北海道札幌市)・新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部(新潟県新潟市)・人間総合科学大学 保健医療学部(埼玉県さいたま市)・広島国際大学 総合リハビリテーション学部(広島県東広島市)<専門学校>・北海道ハイテクノロジー専門学校 義肢装具学科(北海道恵庭市)・国立障害者リハビリテーションセンター学院 義肢装具学科(埼玉県所沢市)・西武学園医学技術専門学校(東京都新宿区)・日本聴能言語福祉学院 義肢装具学科(愛知県名古屋市)・神戸医療福祉専門学校 義肢装具士科(兵庫県三田市)・熊本総合医療リハビリテーション学院 義肢装具学科(熊本県熊本市)

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4.義肢装具士の勤務先

日本義肢装具士協会が2016年におこなった「第2回実態調査」によると、義肢装具士の約9割が義肢装具を含む補装具の製作事業所に勤めており、医療機関が4.1%、教育機関が3.0%と続きます(複数回答)。

─参考:一般社団法人 義肢装具士協会/協力、増田美樹/著『義肢装具士になるには』

日本義肢協会に所属する事業所は全国に約300存在します(参考:日本義肢協会)。義肢装具士の国家試験に合格し免許を取得したあとは、このような事業所に所属することが一般的なようです。

先ほど利用者の採寸・採型と適合の工程を「営業」と呼ぶとご紹介しましたが、「営業」とはこのように事業所に所属する義肢装具士が取引先である病院に赴いて作業することを指しているのです。