5.義肢装具士の年収
同じく義肢装具士協会の第2回実態調査(2016年)によると、義肢装具士の年収で最も多かったのは301〜400万円で、次いで401〜500万円、201〜300万円という回答が続きました。
どの業界や職種にも言えることですが、年収は勤続年数に比例します。勤続年数別に最も回答の多かった年収は、勤続4年目までで201〜300万円、8年目までで301〜400万円、12年目までで401〜500万円、16年目までで501〜600万円、17年以上で601万円以上となりました。義肢装具士の年収は勤続20年前後まで上がり、その後は横ばいとなるようです。
勤務先によっても年収は異なり、義肢装具の製作事業所よりも医療機関のほうが待遇が良い傾向にあります。
なお、義肢装具士の男女比は8:2と男性の多い職種ですが、男性の年収は401〜500万円、女性の年収は301〜400万円が最も多いという結果になりました。女性の約30%が20代と勤続年数の短い方が多い一方で、男性の約20%が事業所の経営者を務めており、このような年齢(勤続年数)や雇用形態の違いが男女の年収にも影響を及ぼしていると考えられます。
─参考:一般社団法人 義肢装具士協会/協力、増田美樹/著『義肢装具士になるには』
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6.最後に
厚生労働大臣の指定を受けて義肢装具士国家試験を実施しているテクノエイド協会の集計によると、試験合格者は2020年4月時点で累計5,772人となっています(参考:テクノエイド協会)。そのほかの医療専門職と比較すると歴史が浅いこともあり、まだまだマイナーな職種かもしれません。
しかし、義肢装具士に対する社会的ニーズは拡大すると考えられます。
義肢装具を必要とするのは先天的に手脚のない方や事故による外傷が原因で手脚を失った方ばかりではありません。高齢化が進むなか糖尿病や動脈硬化によって下肢を切断せざるを得なくなった方が増えています。さらに、外反母趾に悩む方や身体機能の衰えた高齢の方に歩行をサポートするインソールを製作したり、パラスポーツに取り組む方に競技用の義肢を製作したりと、医療や福祉をはじめとする幅広い領域で人々のQOLを高めるための活躍が期待されています。