写真と衣服の間に立ち現れる、二つの“L’Hiver”。


©2024 Elein Fleiss

この冬、東京都渋谷区『Vacant/Centre』と京都・紫竹『Elbereth』にて、エレン・フライスさんの個展が開催される。

1992年にインディペンデント雑誌の先駆けとなった『Purple Prose』を刊行し、以降『Purple』『Hélène』『The Purple Journal』など、アートとファッションを中心とした個人出版の雑誌をつくり続けてきたエレンさん。1968年、フランスのブローニュ・ビヤンクールに生まれ、画廊を営む両親のもとで、芸術に親しみながら育つ。そうした環境下で既成概念に縛られない豊かな発想力を育んだ彼女は、ウォルフガング・ティルマンスやアンダース・エドストローム、マーク・ボスウィックなどの、アートの精神を背景に持つ自由なファッション写真を生み出し、それまでのファッション誌とは異なる革新的な誌面をつくりだしてきた。現在はパリから南フランスにある中世の趣が残る村、サンアントニン・ノーブル・ヴァルへと拠点を移し、『Le Batèl』というショップを営んでいる。


©2024 Elein Fleiss


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10月25日(金)~11月10日(日)、『Vacant/Centre』で開催される「L’Hiver (Aurélie, Jean)」では、彼女の写真作品とヴィンテージの衣服を織り交ぜた新作を発表。エレンさんは継続的に写真を撮っており、近著『エレンの日記』(アダチプレス)にも、極めて私的で、ときに静かなドラマを思わせる印象的な写真を載せている。

Vacantとの協働は、10年ぶりとなるもの。2014年にホンマタカシやオラ・リンダルなど、世界各国40名以上のアーティストの作品とテキストを収録した書籍『Les Chroniques Purple』を共作し、展示を開催した。本展の主催者であるVacant代表の永井祐介さんは、次のように語っている。

「彼女は単にたくさんのアーティストの作品を束ねる編集者ではなく、アーティストへのリスペクトに溢れ、彼らが集える場をつくる為に、屋根と柱を立てて歓待する、ひとりのVisionaireだった。久々に彼女と一緒に場をつくりあげられることがとても嬉しい。」

11月2日(土)~10日(日)は、京都『Elbereth』にて「Elein Fleiss “L’Hiver / Diana, Flore”」展を開催。こちらでは、エレンさんと親密な友人などによる写真と白いウールの衣服を織り交ぜた新作を発表。会場内では、COSMIC WONDERの2024年秋冬コレクション「THAT OLD MAGIC」も展示される予定だ。

また、今回の展示に合わせて、冊子『L’Hiver』がVacantとCOSMIC WONDERから共同で刊行される。十数年の時を駆けるように綴られたダイアリーと写真作品が交差する一冊となっているという。ぜひ合わせて紐ときたい。


©2024 Elein Fleiss


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Event Information”L’Hiver (Aurélie, Jean)” エレン・フライス/Elein Fleiss

“L’Hiver (Aurélie, Jean)” エレン・フライス/Elein Fleiss
会期 2024年10月25日(金)~11月10日(日)
時間 13:00~18:00 ※金土日のみオープン
会場 Vacant/Centre
住所 東京都渋谷区元代々木町27-6

vacant.vc/event/lhiver

Event InformationElein Fleiss “L’Hiver / Diana, Flore”

会期 2024年11月2日(土)~11月10日(日)
時間 12:00~18:30
会場 Elbereth
住所 京都市北区紫竹牛若町1−2

cosmicwonder.com/ja/news/4978

text : Yu Miyakoshi