【人生相談】後悔の日々…夫の死を乗り越える方法は?僧侶が回答

「50代からの女性のための人生相談」は、専門家がハルメク読者のお悩みに答えるQ&A連載です。今回は57歳女性の「夫の死を乗り越える方法」についてのお悩みに、仏教の教えをわかりやすく説いて「穏やかな心」へ導く住職・名取芳彦さんが回答します。

57歳女性の「夫の死を乗り越える方法」についてのお悩み

昨年、主人が亡くなりました。10歳年上でしたが、休みの日には二人でカフェに行ったり、一緒に趣味の音楽のサークルに行ったりして楽しんでいました。

がんで何度も手術をしていたのですが、私は正社員で毎日働いていたので、もっとゆっくり主人と過ごしたいと思い会社を辞めることにしました。主人も平日にいろいろな所に行けると喜んでいましたが、私の退職を待たずに亡くなりました。

亡くなってから、もっと優しくしたら良かったのに、もっと何かしてあげれば良かったのに、ちゃんと愛していると言ってあげれば良かったのに……と後悔しています。

主人はいつも「愛してるよ」「結婚して良かった」と言ってくれていましたが、最期に主人はどう思っていたのか、ちゃんと聞けばよかった、ちゃんと伝えておけばよかったと、思っています。

今は毎日、仏壇に般若心経をあげて「愛してる」と言っています。でも、もう、主人はこの世にいません。この気持ちはどうすればいいのでしょうか?

(57歳女性・ゆきぴーさん)

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名取芳彦さんの回答:一人で生きる覚悟をすることが大切

 
ご主人との時間を作るために退職することにしたのに、その時間がなかった切なさは、察するに余りあります。

正社員としての責任ある退職準備をしながらご主人の看病と看取りをされたのですから、時間のやりくりや心の切り換えなど大変だったでしょう。最期の時間をご主人に注ぎ尽くせなかったことも、心残りだったことでしょう。

退職後にカフェや音楽サークル、旅行など、いろいろなところに行こうと思い描いた未来を置き去りにして、一人進むしかない――。つらいことですが、なるべく早く、それを覚悟できるといいですね。

覚悟しても、たぶん2年ほどは「去年の桜は一緒に見たのに」「去年の花火は一緒に歓声をあげたのに」「一昨年は二人で紅葉を楽しんだのに」「一昨年はいっしょに年越しそばを食べたのに」と思い出すことでしょう。それでいいと思います。

ジグソーパズルで言えば、ご主人と過ごした共通の時間や空間すべてが、今のゆきぴーさんを作っている大切なピースなのです。