コスパのいい年収は?
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【画像出典元】「Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com」
おおよその手取り額や手取りの割合について紹介してきましたが、これは夫または妻、それぞれの年収で計算した場合です。「もし妻が扶養の範囲内だったら?」「どちらかが収入をセーブした方が効率的では?」こういったことも気になると思います。
夫婦の働き方によって社会保険料の負担や税金負担も大きく変わってきます。ここからはそういった点を考慮し、コスパのいい働き方を追求したいと思います。
大きなポイントは、どちらかが「扶養の範囲内で働くか」どうかです。仮に妻が年収130万円など扶養の範囲を意識して働くと、妻の厚生年金保険料や健康保険料の負担がゼロとなります。加えて夫は税金の計算上、配偶者控除を適用することができます。
30代の世帯を念頭に、一般的なケースを想定して検証したいと思います。
<試算の前提>
・上記手取り額や手取り割合と同様に計算
・一方が扶養の範囲内で働く場合、社会保険料はゼロ円とする
・年収100万円の場合、所得税・住民税の負担はないものとする
・一方が扶養の範囲内で働く場合、もう一方の所得税・住民税を計算する上では配偶者控除は所得税で38万円、住民税で33万円とする
パターンA<夫が年収400万円・妻が年収300万円の場合>
同じく世帯年収が700万円でも夫が600万円、妻が100万円の場合はどうなるでしょうか?
パターンB<夫が年収600万円・妻が年収100万円の場合>
パターンAとBでは世帯年収は同じですが、パターンBの方が妻の社会保険料や税金の負担がない分、手取り額が約12万円増えました。手取りの割合に1.71%の違いです。夫の年収が高い分、社会保険料の負担が大きく、配偶者控除が適用されるとはいえ、税金の負担もパターンAと比べるとかなり大きくなっています。
こういったことを考えるのが「コスパのいい働き方」なのかもしれません。
ではパターンCとして夫が年収400万円、妻が100万円のケースを見てみましょう。
パターンC<夫が年収400万円・妻が年収100万円の場合>
当然、パターンAやBと比べると手取り額は少ないものの、手取りの割合は85%近くと最も高い割合になりました。これは先に紹介した単身で年収300万円や350万円の人よりも高い割合です。
本来、「コスパ」はコストパフォーマンスであるため、かけたコストに対する見返りという意味であり、働き方や収入に当てはめると少し違和感を覚える人がいるかもしれません。より効率的な働き方を追求するという見方で3つのパターンを比較してみてください。
もちろん、年収が多い人がその分労働時間が長いとは限りませんが、仮に年収と労働時間が比例しているとした場合、どの程度残業すべきなのか?転職先の条件が良いのか悪いのか?そういった判断をする上で参考になりそうです。
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手取りを増やすためにできる対策はある?
手取りの割合を増やすという点でいえば、賃貸より持ち家の方が高くなりそうです。持ち家の人の多くは住宅ローンを組むため、住宅ローン減税が適用できて税負担が減り手取りが増えます。一方で、持ち家の場合は固定資産税や住宅の維持費など賃貸の時よりも負担すべきものが増えるため、必ずしも持ち家世帯の方が「コスパがいい」とはいえません。
ただこういった発想で、自身が最も効率的で満足度の高い生き方ができるのかどうかを模索することは大切だと思います。
また子供が私立高校に進学する場合は、就学支援金制度があります。公立高校と私立高校の学費の差を補填してくれる制度ですが、この私立高校の加算分をもらうには世帯年収が590万円以下といった目安があります。子供の人数などで目安が変わりますが、つい働き過ぎてこの基準を上回ってしまうと「あまり残業しない方が良かった」など、まさに「コスパが悪い」働き方になりかねません。こうした点も注意してください。
なお、節税で最も期待できるのはiDeCoへの加入です。掛金の全額が所得控除となり老後の資金準備ができます。可能であれば夫婦それぞれiDeCoの掛金上限額まで加入するのがコスパを上げる方法の1つとなりそうです。