相続税は大きく分けて二つの方式
各国の相続税では、大きく分けて2つに分類できます。
1つは、被相続人の遺産に課税する遺産課税方式で、英国、米国等がこの方式です。この遺産課税方式では相続が開始された段階で相続人の間で遺産分割協議書の類は作成されず、遺産を管理する代理人等が裁判所で選任され、遺産の処理(税金等の債務の処理等)を行います。その後、遺産が分配されることになります。
もうひとつの方法は、遺産を相続する相続人に課税する取得課税方式です。この方式は、欧州では、イタリア、ドイツ、フランス等で実施されています。日本は、基本的に取得課税方式ですが、相続税の総額の計算など、遺産課税方式の考え方も一部取り入れた法定相続分課税方式です。
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イタリアの相続税の中身
イタリアでは、相続税は1990年に導入され、2001年に廃止されています。その後2006年に再び導入されるに至っています。
被相続人および贈与者がイタリア居住者である場合は、国内と国外の財産が課税となります。また非居住者の場合は、国内の財産だけが課税になります。納税義務者は、相続人と受贈者です。したがって、この相続に関して、ベルルスコーニ氏の相続では、8人が納税義務者となります。財産の評価は市場価額で、債務および葬儀費用等は控除対象になりますが、人的控除の規定はなく、税率により調整されます。
税率は以下のように区分されています。
①配偶者および直系尊属若しくは卑属に対する相続・贈与は100万ユーロ超に税率4%、②兄弟への相続・贈与は10万ユーロを超える額に税率6%。その他所定の親族(4親等までの親族および3親等までの傍系親族)は6%、③上記以外は8%です。
日本と比較して、税率が低いことがわかります。
矢内一好
国際課税研究所首席研究員