美肌菌は、今注目されている「マイクロバイオーム」の一つで、すこやかな肌をつくる役割を担う善玉菌のこと。肌には美肌菌(善玉菌)以外に悪玉菌や日和見菌も存在し、これらのバランスによって肌の状態が変わります。そんな美肌菌の役割や働き、増やす方法について紹介します。
山下 真理子 先生
京都府立医科大学医学部医学科 卒業 。のべ10年以上の美容皮膚科勤務を経て、現在は関西にて美容医療に携わりながら美容や予防医学の講演活動などを行っている。医療教育にも従事し、総合的な美容医療の啓もう活動に努める。
美肌菌とは?
鏡を見る女性
美肌菌とは、皮膚上の常在菌叢(じょうざいきんそう)である「マイクロバイオーム」の一つです。
人の肌には1,000種類以上の菌が存在しています。マイクロバイオームには大きく善玉菌、悪玉菌、日和見菌(ひよりみきん)の3種類があり、美肌菌と呼ばれているのは善玉菌です。
美肌菌(善玉菌)、悪玉菌、日和見菌、それぞれの特徴は下記の通りです。
■美肌菌(善玉菌)
肌のバリア機能を整え、うるおいを保つ菌です。
<代表的な菌>
表皮ブドウ球菌
■悪玉菌
普段は無害ですが、増殖すると肌荒れやアトピーの原因になるなど、肌トラブルを引き起こす菌です。肌が弱アルカリ性に傾いた時に増殖します。
<代表的な菌>
黄色ブドウ球菌
■日和見菌
マイクロバイオームのバランスによって、美肌菌・悪玉菌のどちらの働きもする菌です。過剰な皮脂分泌や毛穴の詰まりで増殖すると、ニキビの原因になります。
<代表的な菌>
アクネ菌
マイクロバイオームのバランスは指紋のように人それぞれ異なります。美肌菌である善玉菌を増やし、バランスを整えることで美しい肌に近づけます。
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美肌菌の役割・働き
美しい肌の女性
美肌菌にはバリア機能を整え、うるおいを保つ役割があります。さらに、肌トラブルを招く悪玉菌の増殖を防ぐ働きも。美肌に欠かせない美肌菌の役割や働きを紹介します。
肌のバリア機能を整える
バリア機能は肌の乾燥を防いだり、乾燥や摩擦、雑菌や紫外線といった外的刺激から肌を守ったりする機能で、すこやかな肌を保つために欠かせません。バリア機能が正常に働くには、肌が弱酸性の状態であることが条件です。美肌菌は皮脂を分解し、脂肪酸をつくることで肌を弱酸性の状態に保つ働きをもちます。そのため、美肌菌が増えるとバリア機能が整いやすくなります。
【医師監修】肌のバリア機能とは?回復させる方法と、機能を高めるポイント – Her ELEGANCE
肌のバリア機能は水分の蒸発を防いでうるおいを保ち、ホコリや花粉などの外的刺激から守る大切な役割を担っています。乾燥や刺激を感じる時は、肌のバリア機能が低下しているサインかもしれません。肌のバリア機能の役割や機能が低下する原因の他、バリア機能を高めるポイントなどを紹介します。
肌のうるおいを保つ
美肌菌は皮脂や汗を分解し、保湿成分であるグリセリンや脂肪酸を分泌することで、肌のうるおいを保ちます。肌はうるおうとふっくらとキメが整い、透明感のある状態に。また、乾燥を防ぐことで肌トラブルやゆらぎが起こりにくくなります。
悪玉菌の増殖を防ぐ
美肌菌がつくる抗菌ペプチドには抗菌作用があり、増えすぎると肌トラブルを引き起こす悪玉菌の増殖を防いでくれます。悪玉菌を減らし、美肌菌が優位なバランスを保つことで、すこやかな肌に近づけます。