投資の元手をつくるポイントは「稼ぐ力」よりも「削減力」

投資をするには元手と入金力が必要です。そのためには稼ぐ必要がありますが、稼ぐ力以上に大切なのは削減する力、貯める力だと思っています。

僕の周りを見ていると経営者で収入も多いのに貯められないという人はいくらでもいます。年収1,000万円でも1円も貯蓄がない人もたくさんいます。収入や給料が多くても、その分使う金額が多くなるので、結局貯蓄をすることができないのです。

プロ野球選手や芸能人など、稼ぐ力があると、「お金を使っても稼げばいい」「こんなに稼いでいるんだから、使ってもいいだろう」という発想になるので、収入が途絶えた時に全然貯金がなく破産するケースも珍しくありません。つまり稼ぐ力と貯める力というのは、全く別の能力だと言ってもよいでしょう。

これは年収が高い人に限ったことではありません。「貯蓄ができないのは年収が低いから」と言う人がいますが、年収300万円台でも投資をしている人は、いくらでもいます。「お金がない」という人は、通信費の見直し(格安SIMにする)、不要なサブスクをやめる、保険の見直しなどをすることで、月1〜2万円以上を浮かせることも可能です。

僕自身も家賃の安いところへ引っ越し、事務所をなくし、車も1台にし、旅行で泊まるホテルのグレードを下げたり、外食の回数を減らすなど、一気には無理ですが、徐々に生活費を落としています。

例えば超こってりの二郎系ラーメン好きだった人が、いきなりそうめんを食べるのではなく、カツカレーうどん、肉うどん、きつねうどん、鴨せいろ、と少しずつ味を薄くしていけば、そうめんもおいしく食べられるようになります。

お酒や夜遊びが好きで、そこにお金を使っている人は朝5時までダラダラと飲んでいたのを4時まで、3時まで、2時まで、1時までと、少しずつ切り上げる時間を早くするなど、削減方法はいくらでもあります。

収入が15万円でも、生活費が10万円であれば5万円を投資して増やすことができますし、50万円を稼いでいても毎月48万円を使っていれば、2万円しか余剰資金がありません。

収入が増えなくても、工夫次第で人生の幸福度を下げることなく生活費をサイズダウンすることができます。そして、誰でも削減した分を投資に回すことができるのです。

もし「新NISAで投資をする余裕がない」という人がいるならば、収入の多い少ないとは関係なく、その人は身の丈に合う生活をしていないということです。

金川 顕教

公認会計士

※本記事は『公認会計士が教える「資産づくり」を勝ち抜くための11の戦略』(ポプラ社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。