職場の場合:立場によって対応を変えていい



 

そもそも、感謝やお礼をすることは、まわりの人の助けを借りるためには必要なことです。たとえば、仕事上で何かアドバイスをしてもらったら、「ありがとうございます、おかげでこうできました」と報告するのが筋です。

もし、後輩や部下に感謝が足りないと感じる人がいるなら、このコミュニケーションの必要性から教える必要があるかもしれません。目上の人に対しては、「感謝が足りませんよね」とは言えません。こういったときには「こういうときに感謝の言葉を言えない人なんだな」と割り切ってしまいましょう。

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【事例】「感謝」は周囲に大きな影響を与える

以前、ある企業の役員向けのコンサルをしたときに、「上の立場になったら、むやみに部下にありがとうを言わないほうがいい」という思い込みを持っている方がいました。

たとえば「今日のネクタイは素敵ですね」と言われても「あ、そう?」と言うだけ。うれしいと思っても、にっこりしたり「本当?」「ありがとう」と言っては威厳が保てない、と思い込んでいたのです。この方の場合、若い頃に「ヘラヘラするな」と指導されたときの影響だとわかり、思い込みを変えていきました。

後日、彼の部下たちの間では「上司がニコニコしてありがとうと言った」「いったい何が起こったんですか」という話題で持ちきりだったそうです。 感謝は、それほど周囲に大きな影響を与えるものなのです。いいコミュニケーションがとれるように、必要なときにはお願いとして伝え、お互いが気持ちよく関われるようにしましょう。

戸田 久実

アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事