大事なことは「無職期間は作らない」「次の職場での目標を考えておく」こと

近年は、全国的な人材不足もあいまって、転職を考えている人にとっては募集も多くチャンスが広がっています。しかし、なんとなく転職をしたり、なんとなく辞表を出して「辞めてから考えよう」はあまり得策ではありません。

転職活動は「辞めてから考える」より、「辞める前に決めておく」ことをおすすめします。次の仕事がなかなか決まらずイライラしながら次を探すくらいなら、今の仕事をちょっとゆるめにしながら次を見つける方がいい。納得のいく条件がみつかったら転職を決めればいいのです。

同時に「転職をして、どうするか」を考えながら転職活動をします。面接を受けているうちに、今足りなくて転職に求めているものがハッキリしてきますが、見極めが大事です。新しい職場に求めているものをはっきり示せる人は、面接でいい条件の結果も出るものです。

今の職場から「逃げる」ことが転職の目的ではなく、次の職場での「成長」を目的としてみてください。

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転職で注意したい4つのお金のこと

転職をためらう必要がない時代とはいえ、転職が「お金」の面で損がないか事前にきちんと確認をしておきましょう。

退職金がこまぎれになる恐れがある……一般的に退職金は入社~定年までを1つの会社に勤め上げたものとしてモデル金額が説明されます。転職すれば、当然ながら退職時までの勤続年数に応じた退職金をもらって終わりとなります。

この時、多くの会社では短期在職で自己都合退職をした場合、退職金額を減額する設定となっているため、「(40年1社で勤めた退職金額)>(10年ごとに転職し4社に勤めた場合の退職金合計額)」となることに注意が必要です(いずれの会社もモデル退職金が同じだったと仮定)。

また、転職時にお金をもらってしまうと60歳以降のために残しておくことは難しく、老後のお金の準備については自覚的になる必要があります。この点は転職のウイークポイントです。

確定拠出年金の手続きを忘れないこと……退職金・企業年金制度の一部として確定拠出年金制度を会社が実施している場合、転職時に全額を引き出し(3年以上の勤続なら減らされることもない)、別の確定拠出年金口座に移すことになります。これにより取り崩しを防ぎ、確実な老後の資産形成とすることができます。

転職先に確定拠出年金があれば転職時に申し出れば引き継ぎが行われ、ない場合はiDeCo(個人型確定拠出年金)に移します。iDeCoの場合、自分で口座開設と資金移動の手続きをする必要がありますので、忘れずに手続きしましょう。

退職時の中途解約は原則できませんので、(残高が1万5000円以下で退職した場合などごくごく限定的に認められる)注意してください。

公的年金には影響なし……転職をして会社員で働き続ける場合、新たに厚生年金に加入し直すことになりますが、加入の履歴は国の方で一元管理されています。働き続ける場合は年金制度ではマイナスが生じません。

無職期間が長くなる、あるいは独立してフリーランスになる場合等は、国民年金の手続きをして保険料を自分で納めます(市区町村役場で手続き)。またこの場合、年金額も下がってしまいます。基本的には中断期間を長く置かずに転職する方がいいでしょう。

自己都合で辞めても雇用保険のお金をもらえるが制限がある……いわゆる失業給付(雇用保険の求職者給付)というのは、本来会社が倒産するなどいきなり無職になった人がもらう仕組みですが、自己都合で辞表を出した人も対象です。ただし会社が倒産していきなり無職になった人と比べて、支給開始が遅れたり、支給日数が少ないなどの制限があります(現況は、退職から2カ月と7日待たないと給付がされず、勤続10年未満の離職なら90日間の給付ですが、2025年4月より、2カ月の待期期間を1カ月に短縮するほか、教育訓練を受けている場合、待期期間をなくす改正が行われる予定です)