3. 診療放射線技師の仕事内容

診療放射線技師の主な仕事は放射線を使用した検査ですが、業務を安全に遂行するための機器管理や被ばく管理も大切な仕事の一つです。

検査・画像診断

診療放射線技師の主な業務となります。医師の指示に基づいて患者さんの体内を撮影し、病気の早期発見や病巣の特定に貢献します。診療放射線技師がおこなう検査には次のようなものが挙げられます。

一般X線撮影(レントゲン):X線を用いて主に胸部(肺)や口腔を撮影します乳房X線撮影(マンモグラフィ):乳房を圧迫して撮影し、腫瘍の有無や石灰化の有無を調べます消化管造影検査:バリウムが口から食道・胃・十二指腸へ流れていく様子をX線を連続して照射して撮影します血管造影検査:大腿動脈などから目的の部位に向けてカテーテルを挿入し、造影剤を投与することで血管内腔を撮影しますCT検査:体の断面や内臓や骨格、血管の3D画像を撮影しますMRI検査:磁気共鳴画像診断装置と呼ばれる装置で体の断面を撮影しますRI検査(核医学検査):放射性医薬品を静脈注射などによって投与し、目的の臓器に集まった放射性物質から放出される微量の放射線(ガンマ線)をガンマカメラで撮影することで、臓器の形や働きを検査します骨密度検査:照射したX線がどのくらい吸収されたかによって骨密度を測定します(DXA法)。X線を使用せず、かかとから超音波を当てる測定法もあります(超音波法)超音波検査:腹部、乳房、心臓、乳腺、甲状腺などに超音波を当て、その反射波(エコー)を画像にします

放射線治療

リニアックと呼ばれる装置を使って高エネルギーX線を幹部に照射し、がん細胞を破壊します。放射線治療は手術、抗がん剤治療と並んで、がんの三大療法とされています。

放射線機器管理

放射線機器が安全に使用できるよう、点検や品質管理をおこないます。

放射線被ばく管理

診療放射線技師は患者さんが浴びる放射線量を適切に管理・記録し、放射線検査や治療を受けるメリットが被ばくのリスクを上回る場合に限り放射線を照射することになっています。

tips|診療放射線技師法の改正について

主に医師の負担軽減を目的に診療放射線技師法が改正され、検査のために必要な医行為の一部(静脈路の確保や医薬品の投与、抜針、止血など)を診療放射線技師が実施できるようになりました(参考:厚生労働省)。

この改正診療放射線技師法は2021年10月1日から施行されていますが、実際にこれらの医行為をおこなうには所定の研修を修了する必要があります。

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4. 診療放射線技師の勤務先

総合病院

中規模〜大規模の総合病院に勤務する場合、さまざまな症例に触れながら診療放射線技師に必要な知識や技能を幅広く身に付けることができます。

総合病院の放射線科は技師の育成方針がしっかりしており、最初の数年で一般X線撮影に始まり、CT検査やMRI検査、さらに消化管造影検査、血管造影検査、RI検査と段階を踏んですべての検査領域を経験することができます。その後どの領域で専門性を磨くか決め、認定資格の取得などを目指すケースが多いようです。

国立病院や大学病院などの中核病院であれば、最新の診療技術に触れることができるのも魅力です。

ただし、月に数回は当直、ないしはオンコールがあります。

専門病院やクリニック

専門病院やクリニックに勤務する場合、胸部X線撮影、CT検査、MRI検査、消化管造影検査が中心となります。婦人科の場合は乳房X線撮影と骨密度検査、整形外科の場合は一般X線撮影と骨密度検査など、診療科目によって検査に偏りがあることもあります。

スタッフが限られているため、患者さんの案内や事務作業など撮影以外の業務を任されるケースが多いものの、一般的に残業が少なく当直もないため働きやすい職場と言えます。

検査施設

病院の健診・検診センターや健診クリニック、保健所などの検査施設に勤務する場合、胸部X線撮影、乳房X線撮影、CT検査、MRI検査、消化管造影検査が中心となります。施設内だけでなく、検診車で企業や学校を巡回することもあります。

中核病院の健診・検診センターになると、最新機器を使って高度な専門性を求められる検査に携わることも可能です。

残業が少なく週休2日でワークライフバランスが取りやすい点も魅力です。

一般企業

診療放射線に関する知見を活かして、一般企業で活躍する診療放射線技師もいます。

最も多いのが、医療機器メーカーでアプリケーションスペシャリストとして働くケースです。専門知識を活かして診療放射線機器の導入支援などをおこないます。

また電力会社や原子力関連企業、大学の研究室など、業務で放射線を扱う企業や団体に就職する診療放射線技師もいるようです。