3.労働基準監督署に相談(通報)するときの流れ
労働基準監督署に相談(通報)するときのポイント
できる限り証拠の準備を
労働問題を相談するにあたり、勤務記録や給与明細、労働条件についてやりとりしたメールなど証拠となる情報を整理しておきましょう。法令違反がわかる資料がないと対応してもらいにくくなってしまいます。
スムーズな相談のために、相談内容の要点もまとめておきましょう。なお、労働基準監督官には守秘義務があるため同意なく相談内容を明かされることはありませんが、実際に対応が必要なケースで完全に匿名を貫くのは事実上難しいでしょう。
電話か訪問で相談(通報)
相談内容を整理したら、平日夜・土日に開設されている労働条件相談ほっとラインへの電話か、会社(勤務先)の所在地を管轄している労働基準監督署の窓口で相談します。いずれも無料で利用できます。
労基署に動いてもらうには窓口で「申告」
電話による相談も内容によって調査対象となりますが、明確な労働基準関係法令の違反があり、労基署に調査や是正勧告をしてほしい場合は窓口で申告をおこないましょう。労基署は労働者から提出された資料をもとに実施を判断するため、窓口で証拠資料を添えて書面で申し入れるのが確実です。
メールによる匿名の情報提供も可能
労基署に対応してもらうためには実名で具体的な内容を伝えるのが望ましいですが、匿名にしたい場合や、すぐに対応してほしいほどではないといった場合は、メールフォームから情報提供をする方法もあります。氏名を記入するかは任意のうえ、匿名で情報提供があったことを事業所に通知してよいか否かも選択することができます。
ほかの方法より匿名性を確保しやすく職場にバレにくいですが、情報提供はあくまで労基署の調査の参考情報として扱われるため、問題が改善されるとは限りません。
(広告の後にも続きます)
4.労働基準監督署への相談事例
最後に、実際に労基署に多く寄せられている相談の事例を紹介します。
Q.急に呼び出され「今日で辞めてもらいたい」と言われました。これってあり?
解雇は正当な理由がない限り不可能です。客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であって初めて解雇が有効とみなされます。そのうえで、少なくとも30日以上前に解雇を予告するか、それより短期間の場合は解雇予告手当てを支払わなければならないとされています。
Q.会社の売上が下がったために賃金が一方的に一律で下げられました。仕方ないのでしょうか?
やむを得ない事情により賃金を下げる(不利益変更)場合、会社が一方的におこなうことはできず、労使間で同意する必要があります。
Q.早朝から夜まで働いていますが、休憩はお昼のみで、来客があると休憩できないこともあります。
労働基準法で定められている休憩時間を下回っていないか確認してみましょう。また、休憩時間は労働から離れて自由に利用できる時間となっているため、来客や電話応対のために待機する手待ち時間は労働時間とみなされます。
※参考「労働基準監督署へ多く寄せられる相談事例」