高柳明音、SKE48卒業後初のソロコンサートで新曲サプライズ披露!「タイトルはギリギリまで悩んで……」

10月19日、女優の高柳明音がSKE48卒業後初となるソロコンサート「高柳明音 15th Anniversary LIVE」を名古屋・Zephyr Hallにて開催した。この記事では当日2回行われたコンサートより夜公演の模様をレポートする。

◆再びマイクを握る日まで

SKE48劇場があるサンシャイン栄からほど近い、ライブハウス・Zephyr Hallに集まった観客たちの熱気は高く、3年ぶりのステージを待ち望んでいた様子が窺える。ライブグッズのTシャツはもちろん、SKE48時代のマフラータオルや卒コングッズの法被を着用するファンの姿も見られた。

振り返ると、今から5年前の2019年10月4日深夜。48グループ史上最も遅い“ミッドナイト卒業発表”でファンを驚かせた高柳。それから世界はコロナ禍を迎え、予定されていた神奈川・横浜アリーナでの卒業コンサートは中止になり、卒業時期も延期に。思うような活動ができなかった2020年だったが、大規模コンサートの開催が緩和されつつあった2021年5月に、日本ガイシホールで卒業コンサート「SKE48アリーナコンサート in 日本ガイシホール 私の兆し、皆の兆し ~あかねまちゅりだ!~」を無事開催。しかし、ファンからの声援は感染拡大防止の観点から禁止。感動的なコンサートであったが、同時に不完全燃焼さを抱えるステージだった。

あれから3年。コロナ禍による規制も無くなり、古巣のSKE48ではファンからのコールやMIXも解禁。メンバーが客席へ降りて、至近距離でパフォーマンスする光景も再び見られるようになった。そうしたなか、世間の状況も整い、15周年というアニバーサリーイヤーというタイミングで、長年「やりたい!」と温めてきたソロコンサートの開催を今年3月に発表。再び高柳がマイクを握るという朗報にファン達は湧き立った。

◆約5年ぶりに響いた“明音コール”!


開演時間になり、場内には高柳がSKE48で初めて選抜メンバーに選ばれた『青空片想い』のイントロが流れ始めた。

「ソロコンサート夜の部行くよ!みんな立って!」とステージ袖から走って登場し、観客を煽る高柳。一気に火が点いたようにお馴染みのMIXが飛び交い、会場は高柳のメンバーカラーである緑と黄色のサイリウムで染め上げられた。そして、場内に飛び交う“明音コール”。筆者が最後に聞いたのは、政府から大規模イベントの中止要請が出される直前のSKE48全国ツアー大分公演のとき。苦難を乗り越え、再びスタージで歌う姿は感慨深い。声に出して届けられるファンからのコールに、少し緊張感のあった表情も満面の笑顔に。

「みなさん来てくれてありがとうございます!今日だけは明音ちゃん推しでいてね」とレスポンスし、『S子と嘘発見器』を歌唱した。

MCでは会場の温かい空気にほっこりする場面も。


「初めて一人でソロコンサートをして、私のためだけにみなさんが来てくれることって今まで経験がなかったから、すごく不思議な感じ。昨日まで不安とかドキドキとかでは言い表せない気持ちがあったけど、ここに立った瞬間にコールを聞いて温かい気持ちになりました。すごく嬉しかったです」と感謝の思いを述べた。

セットリストは進みバラードブロックへ。劇場公演でソロ歌唱していた『夜風の仕業』をしっとり届けた。一人で歌を届けるきっかけにもなった曲であり、「毎回めちゃくちゃ緊張してた。でも、この経験があったから歌と向き合えて好きに慣れたし、こうしてソロコンサートもできているから、今に繋がるきっかけをくれた曲」と当時を振り返った。

続けて、「デビューから15年経って、一つの晴れ舞台に立てたという気持ちです。SKE48を卒業してから3年は経つけど、当時から応援してくれていた方も来てくれて、こういう機会に私のことを思い出してくれてありがとう。こういう時間を改めて大切にしていきたいな」と客席を見渡しながら、想いを述べた。

◆再び集ったファンと一緒に、また歩き出したい


ファン参加型○×クイズの結果で仮装が決まるゲームにて、懐かしい問題も交えながらファンとの交流を深めた高柳は、その仮装のまま『ハロウィン・ナイト』を披露。この楽曲は「AKB48 41stシングル選抜総選挙」(第7回)で選抜メンバーに投票で選ばれた思い出の曲。『Trick or Treat!』の歌詞に合わせてサイン入りのマシュマロを客席へ向けて投げ入れた。

ここで着替えのためにステージを離れた高柳。会場では自身の冠番組『高柳明音の生まれてこの方』の特別編が放送され、ある情報がサプライズで発表された。

「私、高柳明音のオリジナルソロ曲を作ってきました!」という報告に、会場全体が湧き立つ。

「SKE48を卒業してから3年が経ちますが、『明音ちゃんの歌が好きだ!』と言っていただくことも多いので、ソロコンサートに合わせてやったことがなかった作詞にも挑戦しました」という。また、作曲は『ごめんね、SUMMER』や『恋を語る詩人になれなくて』の作曲でお馴染みの俊龍氏が手掛けていることも明かした。


暗転の中、再びステージに現れた高柳。マイクを握る手に力が入ると同時にピアノの旋律。声に乗せて届けられる、常に寄り添ってくれたファンへ向けた感謝が綴られた歌詞にファンたちもペンライトを振りながらうっとりと聴き入っていた。

新曲披露で本編は一旦終了。ファンからは早速“あかねまちゅり”の掛け声でアンコールが発動。着替えを済ませ、ライブグッズのTシャツ姿で再びステージに登場した高柳は、SEK48卒業時にソロ曲として贈られた『青春の宝石』を歌唱。卒業コンサートはコールができないという不完全な状況と、会場の収容人数を少なくしなければならない関係で、最後の姿を見届けることができなかったファンも多いと聞く。

「ずっと応援してくれているみなさんの中にも、この曲を聴けずに終わってしまったという方もたくさんいると思うんです。そんなみなさんの無念も晴らしたかったし、それにこの曲は卒業のためだけじゃなくて、いつ歌ってもいいんだって、このライブを通して気づくことができました」

初披露時はSKE48として、これまでの自分を振り返りながらアイドル人生の総括としての意味合いがあった同曲。だが、3年ぶりに歌われた楽曲からは、“アイドルだった”自分を振り返りつつも、また一緒に一歩を踏み出そうという意味合いに変化しているように感じた。

◆握手の愛、もう一度


さて、MCではタイトル不明のまま初披露された曲名について『星、流れる夜に君を想う』と明かした。「ずっと悩んでいたら明日が本番っていうタイミングになっちゃって、現時点でタイトルはこれかなって。でも、変わるかもしれません」と会場を笑わせた。新曲はミュージックカードの発売と、特典会となる握手会を東京・名古屋の2箇所で開催することもあわせて発表された。さらに、東京の握手会と同時にファンクラブ限定のイベントも開催。このイベントではソロコンサートで歌えなかった楽曲も披露したいという。15周年の真っ只中、年末まで高柳の勢いは止まらない。


「歌、ちゃんと歌えるかな?一人で踊れるかな?歌詞を覚えられるかな?ってそわそわしてたんですけど、たくさん練習したし、初めて自分がこんなに歌うことを経験したけど、まだまだイケるね!みんなが2回目もやってほしいと言ってくれたらできるかもしれないから、最後まで元気よく駆け抜けていきたいな」と胸の内を話すとともに感謝を述べ、セットリストは最後のブロックへ。

ファンの持つサイリウムがチームKIIカラーの赤色に変わり、披露された『ラムネの飲み方』。当時のオリジナルメンバーとして、何よりオリジナル公演を直訴した張本人として、歌詞の一節に載せられた想いの熱がじんわりとした暖かさとなって客席中に届けられる。そして……。

「私がSKE48を卒業しても、素敵な楽曲たちがみなさんの心の支えになっていたら嬉しいです。私も何かの形で歌い続けていけたらいいなって思っています。これからも私の曲を好きでいてください」

◆「みんなも一緒に歌って!」


「思い入れが深い曲がバラードばっかり」と言ってはいたが、しっとりとした雰囲気で終わらせないのが高柳流。

「ぶちアガる準備はできてるか!?」

どんなステージでも高柳に煽られればノラないファンなんていない。

最後は『DADAマシンガン』を全力熱唱。遅れまいとファンたちも温めてきた喉を広げ、コールやMIXを全力投入。熱と熱の応酬で多幸感が会場を包んでいく。

「明音コール行くぞ!」、「みんなも一緒に歌って!」、「これで終わりだからね!声を枯らせて帰って!!」と畳み掛ける煽りに、ファンも声がかすれるくらいに全力で叫んだ。


すべての楽曲披露を終え高柳は、「無事終わりましたね。最高の時間でした。みなさんありがとうございました!」と、ファンとお互いに拍手をし合いながらライブの感想を喜び合った。

「あっという間だったけど、本当に楽しかったです。熱気もすごくて、久しぶりにライブやってるな、歌って踊ってるなって実感することができました。本当に素敵な思い出ができました。またできたらいいですね。『兆し』は一人じゃツラいからやらないけど(笑)」と言い残し、名古屋でのソロコンサートを終えた。

次回は11月24日、東京で開催される。

<取材・文・撮影/安藤龍之介>