体型管理の方法
ホルモンの減少により、筋肉は付きにくいというよりも減少してしまう傾向になり、加えて脂肪は蓄積してしまう体質になってきている状態です。それまでおこなってきた運動だけでは維持ですら大変になってきます。
筋肉量維持の重要性と方法
個人のそれまでの運動量によるとは思いますが、例えば今まで週3日で運動していたとしたら、その強度を上げる必要が出てきます。回数を増やす、強くするなど今までよりも強めの運動を無理のない程度に取り入れてみるところから始めましょう。
今まで何も運動はしていなくても体型維持ができてきたという人も、40歳になったら何かを始めないと維持は難しいと考えてください。とはいえ、急に10kgランニングをする必要はありません。日常生活の中に意識して運動らしきものを取り入れるだけでも効果的です。
例えば、踏み台昇降。階段などを利用して1日5分からスタートしてみて、それを習慣づけてから少しずつ強度を上げてみましょう。あるいは、「バス停を1個分だけ歩いてみる」とか、目的地がビルの10階だったとしたら、「8階で降りて2階分階段を使う」など、生活の中に今までなかった運動らしきものを入れていくとスタートしやすいでしょう。
「運動をしなければいけない」と言うとストレスになる、という人もいるでしょうが、そのまま放置していると体型だけでなくほかの疾患のリスクも上がり、別のストレスがかかります。そうなる前に、日常の中での習慣づけをしておくことのほうが大切です。
適切な栄養摂取の重要性
太ってきたと感じると、最初に頭に浮かぶ対処法は「食事制限」ではないでしょうか。しかし、単純に「カロリーを低く抑える」という考え方はダメです。必要な栄養はバランスよくしっかりとりながら、食事内容を見直していくことが重要です。
そのためには、「何を食べて」「どのくらい量を食べたのか」の把握は必要です。とはいえ細かく測る必要はありません。例えば、食事の写真を撮るだけでカロリー量やたんぱく質の摂取量などを大まかに記録してくれるダイエットアプリなどを活用してもいいでしょう。食事は何より楽しむことも大切です。
この時期は女性ホルモンの減少が大きな課題なので、それを補うものを摂取することも必要です。代表的なものは大豆イソフラボン。大豆イソフラボンには1日の摂取量の上限値があります。それが70㎎~75㎎で、納豆だと2パックほどです。豆腐も小さいサイズで十分な量です。そこで、朝食で豆腐入りのお味噌汁を飲む、納豆ご飯を食べるだけでも大きく改善します。
納豆は大豆イソフラボンだけではなく、 ミネラルやたんぱく質も多く摂取できるので、1日パック納豆を食べることを習慣にするのがおすすめです。
和食は大豆製品を使った調味料が多く使われています。じょうずに和食を取り入れていくと良いでしょう。朝食にパン食だったら、ランチは和食の定食にしてみるといった具合です。全部自分で作らなくても、ちょっとした工夫で食事を楽しめて、さらに適正な栄養摂取もできるのです。
ホルモンバランスを整える生活習慣
40歳前後になると、複数のホルモンの働きが従来と異なってきます。そのときに起こる体型変化や不調なども、1つのホルモンだけが原因ということはありません。また、同じようなホルモンの分泌量の変化があったからと言って、全員が同じ症状を起こすわけでもないのです。
年齢を重ねれば、ホルモンバランスは崩れます。それを少しでも元に戻したり、症状を軽くしたりするのは、日ごろの生活習慣がポイントになってきます。
基本的には和食を取り入れたバランスの良い食事をとること。たまには何も考えずに楽しむ食事があるのはいいですが、それが続くのはNG。運動も何もしないよりは、日ごろから階段を使う程度でもいいので、習慣化しておくことです。
このような食と運動に関する生活習慣を早いうちから続けている人は、更年期の症状や体型変化が軽い場合が多いようです。難しいことでもありませんし、将来のリスクを軽減するためにもすぐに日常生活を見直して、取り入れてみましょう。
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まとめ
体の中のバランスが大きく変化する40歳前後。体の中で起こってたことが、おなか周りのだぶつき、など体型変化となって現れてきます。「そんなお年ごろだから仕方がない」と目をつぶっていると体型だけではなく、さまざまな疾患のリスクも高まってしまいます。
筋肉をつける運動や食事のとり方に気を配ることは、体のためにおこなう一連の習慣と考えてください。「運動してるからドカ食いしていいんだ」ではなく、すべてはバランスで成り立っていると考えましょう。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
取材・文/いしまるかずみ
更年期真っただ中の50代ライター。ライター歴は30年以上と無駄に長い。東北と奈良と猫が大好き。小説、マンガ、アニメが生活の一部で、「在原業平」様が初恋の人。でも理系の一面も。
著者/監修/黒田 あいみ 先生
美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。Zetith Beauty Clinic医師(東京都中央区銀座4丁⽬2-17 銀座111レジャービル13階)/東京美容外科沖縄院院長。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。著書に『アスリート医師が教える最強のアンチエイジング』(文藝春秋)。Instagram:@kurodaaimi