「長男だけずるい」とならないために…遺留分侵害額請求の注意点

遺留分侵害額請求をする際は、どのような点に注意する必要があるのでしょうか? ここでは、主な注意点を3つ解説します。

期限内に請求する

遺留分侵害額請求には期限があり、相続開始と遺留分侵害の事実を知ってから1年以内に行使しないと、時効によって権利が消滅してしまいます(同1048条)。また、遺留分侵害の事実などを知らなくても、相続開始から10年が経つと、もはや遺留分侵害額請求はできません。

そのため、特別受益や遺言書で遺留分侵害に気付いたら、できるだけすぐに請求することをおすすめします。請求の効果は口頭や普通郵便であっても生じるものの、期限内に請求をした証拠を残すため、遺留分侵害額請求は内容証明郵便にて行うのが一般的です。

なお、請求する遺留分侵害額の算定に時間がかかることもあるでしょう。特に、生前贈与などの特別受益によって遺留分を侵害された場合には、侵害額の調査や算定に時間がかかる傾向にあります。そのような際は、期限に間に合わせるためにまずは金額を明示することなく遺留分侵害額請求の意思表示を行い、具体的な金額については追って調査することも少なくありません。具体的な進め方については、弁護士へ相談したほうがよいでしょう。

弁護士へ相談する

遺留分侵害額請求をする際は、無理に自分で行うのではなく、弁護士へ相談したうえで行うことをおすすめします。なぜなら、遺留分トラブルは、具体的な侵害額について争いが生じることが少なくないためです。金額の交渉を相手方と直接しようとすると、感情的になり解決が困難となるおそれがあるほか、自身にとって不利な内容で合意してしまうリスクもあります。

弁護士に依頼することで、遺留分侵害額の算定を弁護士に行ってもらうことができます。
また、相手方との交渉の場に同席してもらったり交渉を代理してもらったりすることもでき安心です。さらに、交渉がまとまらず調停や訴訟へと移行した際も全面的にサポートを受けることができるため、落ち着いて対応しやすくなります。

特別受益については証拠を集める

一定の生前贈与などの特別受益も遺留分計算の対象となります。とはいえ、被相続人が自分以外に者に行った贈与について、証拠を集めることは容易ではありません。

しかし、遺留分について当事者間での意見がまとまらず訴訟にまでもつれ込んだ場合には、証拠のない主張は通らない可能性が高いでしょう。そのため、生前贈与などの特別受益を遺留分算定の基礎に含めたい場合は、証拠を集めておく必要があります。証拠の探し方がわからずお困りの際は、弁護士へ相談するとよいでしょう。

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まとめ

遺留分の対象となる特別受益について解説しました。遺言書での遺贈のほか、一定の生前贈与も遺留分計算の対象となります。ほかの相続人などがまとまった生前贈与を受けており、これについて遺留分侵害を主張したい場合は、早めに弁護士へ相談することを勧めます。

弁護士へ相談すると、生前贈与を遺留分計算の基礎に含められるかどうかの見通しが立てやすくなるほか、遺留分侵害額請求を代理してもらうことも可能となります。
 

堅田 勇気

Authense法律事務所