基礎代謝を計算する方法は?
生命を維持するため、人はまったく動かなくても基礎代謝でエネルギーを消費しています。
そのため、厳密に基礎代謝を計測する場合には、下記のような条件を満たす環境が必要となります
室温20~22℃の室内環境
測定前24~48時間の運動規制
夕食と睡眠8時間の後12時間以上の絶食
ただし、こうした条件をクリアするのは難しいため、基礎代謝量を直接測定するのではなく、計算式を用いて基礎代謝を推定する方法が一般的です。
基礎代謝は、性別・年齢・身長・体重などで違う
基礎代謝に必要とされる消費カロリー(基礎エネルギー消費量)は、年齢や性別、身長、体重などで異なります。そのため、基礎代謝の計算式では、性別ごとに違った変数が入った数式に、年齢・身長・体重の数値を入れて計算するのが一般的です。
基礎代謝の計算式1:ハリス・ベネディクト式(日本版)
1919年に発表されたハリス・ベネディクトの方程式が国際的に広く使われていますが、日本人の体形では数値が高めに出る傾向があります。ここでは、日本人の体形に合わせて改良された「ハリス・ベネディクト方程式」を紹介します。
男性:66+13.7×体重(kg)+5.0×身長(cm)-6.8×年齢
女性:665.1+9.6×体重(kg)+1.7×身長(cm)-7.0×年齢
ハリス・ベネディクト式で計算した50歳女性の基礎代謝量(身長155cm体重50kg):1058.6kcal
基礎代謝の計算式2:ミフリンセイントジョー式(簡易版)
1990年にミフリンが発表した下記の計算式は、最近の食生活を考慮し考えられたため、ハリス・ベネディクト式よりも正確であると言われています。計算式を簡易的に表した(9.99→10、4.92→5)下記がよく使われています。
男性:10×体重(kg)+6.25×身長(cm)ー5×年齢+5
女性:10×体重(kg)+6.25×身長(cm)ー5×年齢ー161
ミフリンセイントジョー式で計算した50歳女性の基礎代謝量(身長155cm体重50kg):1057.8kcal
基礎代謝の計算式3:国立健康・栄養研究所式
日本国内では、すべての年齢階級において比較的妥当性が高いとされる、国立健康・栄養研究所による式が使用されることもあります。
男性:(0.0481×体重+0.0234×身長-0.0138×年齢-0.4235)×1000/4.186
女性:(0.0481×体重+0.0234×身長-0.0138×年齢-0.9708)×1000/4.186
国立健康・栄養研究所式で計算した50歳女性の基礎代謝量(身長155cm体重50kg):1044.2kcal
その他にも、体重と体脂肪率で計算できる国立スポーツ科学センター式など、基礎代謝の計算方法はさまざま。インターネット上で基礎代謝を無料で計算できるサービスもあるので、ぜひ活用してみてください。
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50代女性の基礎代謝の目安をチェック!
上記の計算式ほど正確ではありませんが、より簡単に基礎代謝量の目安を知る方法も合わせてご紹介します。
日本ではさまざまな研究における基礎代謝測定値から算出された、体重1kgあたりの基礎代謝量(kcal)の目安「基礎代謝基準値」が公表されています。
これを元に計算すると、大まかな年齢別の基礎代謝の目安を把握することができます。ただし、基礎代謝基準値は、日本人の平均的な体格においての値であり、参照体重から大きくはずれた体格では誤差が大きくなる点に注意が必要です。
基礎代謝量(kcal/日)=基礎代謝基準値(kcal/kg/日) × 体重(kg)
厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」によると、50代以上の女性の基礎代謝量の目安は以下の通りです。
参照体重における基礎代謝量
50~64歳:1110kcal/日(参照体重:53.8kg)
65~74歳:1080kcal/日(参照体重:52.1kg)
75歳以上:1010kcal/日(参照体重:48.8kg)
参照(PDF):厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」P.74 表5 参照体重における基礎代謝量
こうして並べて見ると、基礎代謝が年齢によって異なることがよくわかると思います。