デートに鉄板の「ノースリーブニット」で登場した30歳女。しかし、男が帰りたくなったワケ

今週のテーマは「『結婚願望がある』と女が二度目のデートで言うのはNG?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:結婚したい30歳女。2回目のデートで「結婚願望がある」とアピールするのは本当にNG?

愛と二度目のデートを終え、僕はタクシーを拾わずに六本木から虎ノ門方面へ向かって、なんとなく歩き始めた。

飯倉の交差点越しに、東京タワーが大きく、暖かなオレンジ色が夜空に映えて綺麗に見える。

もうすぐ上京して14年。

久しぶりに“東京にいる女の子”だなと思った愛。いや、久しぶりに“あんなわかりやすい女性”に出会ったかもしれない。

愛は、抜群にスタイルが良く、美人だった。

だから最初は僕も惹かれた。でも二度デートをして、気がついた。30を過ぎると、男女ともにあることが大切なことに…。



A1:ルックスが良かった。



愛と出会ったのは、食事会だった。先に着いていたメンバーで飲んでいたところ、遅れてやってきた愛。

― スタイル良くて、可愛い子だな。

ひと目見た途端に、そう思った。スラリと長い手足に小さな顔。その顔のパーツ一つひとつも綺麗だ。

しかも愛も興味を持ってくれたのか、僕の隣の席に座った途端に、意外にグイグイと来た。

「初めまして、愛です」

「初めまして。大毅です」

「大毅さんは、何のお仕事をされているんですか?」

「僕は自分で一応、会社をやっています」

「そうなんですね。すごい!」

話も盛り上がったので、連絡先を交換した。そして翌日、僕は早速愛を食事へ誘ってみる。するとOKをもらえ、僕たちは代官山にあるイタリアンへ行くことになった。

しかしこのデートで、僕は既に、大きな“読み間違い”を犯していたのかもしれない。

迎えた二人きりでのデート。今日も愛が登場した瞬間に、場が一気に華やいでいく。

「愛ちゃんって、本当に美人だよね。何かそういう芸能系というか、モデルとかの仕事してたの?」

「何もしていないですよ〜」

「そうなんだ。絶対、そっちでもいけるよね」

「ありがとうございます♡」

嬉しそうにシャンパンのグラスを傾ける愛。その姿を見て、今日のデートを楽しみにしていた僕は、勝手にテンションが上がっていく。

しかも愛はたくさん質問を投げかけてきてくれる。これも、嬉しいポイントだった。

「大毅さんは、具体的には何系の会社を経営されているんですか?」

「僕はIT系の会社だよ。まだ立ち上げたばかりだけど」

「そうなんですね。いつ起業されたんですか?」

「3年前になるかな」

ビジネス自体は上手くいっているけれど、まだまだこれからだ。やるべき事も、やりたい事もたくさんある。

そんなことを考えながら、実は最初から少し気になっていたことを愛に投げかけてみた。

「愛ちゃんはお仕事、外資系だっけ?」

初対面の時から思っていたこと。それは、愛の持ち物が妙に華やか…というよりも、自力で買えるのかどうかわからないような高価なブランド物が目につくことだった。

しかも手を見てみると、大きなダイヤの指輪が輝いている。

― これって…誰かいるのかな。

そう思わずにはいられないような装いだ。

しかし愛の話を聞いていくうちに、それは大きな誤解だったと知る。

「そうです。外資系のブランドで働いています」

「だからか…!すごいオシャレだし、持ち物も華やかだなと思って」

ハイブランドで働いているならば、購入する機会も多いだろう。社割もあるのかもしれない。

「“誰かいるの?”とか誤解されることも多いんですけど、頑張って働いてます!」

「そうなんだ。えらいね。ずっとその会社で働いているの?」

「前は違うブランドにいたのですが…」

― そっか、この子は自分で頑張って働いたお金で買っているんだ。

そう思うと納得がいくし、むしろ「疑ってしまって申し訳ない!」とも思った。

それにデート自体も楽しかったし、僕は疑問が解決したところで、再度愛をデートに誘ってみたくなった。

「愛ちゃん、また食事付き合ってもらえないかな」

「もちろんです」

ただ次のデートで、「やっぱりこの子って…」と思うことになる。



A2:お金と見栄のために貪欲で怖い。



二度目のデートもすぐにやってきた。しかし店へやって来た愛を見て、一瞬目を丸くしてしまった。

「愛ちゃん、今日も華やかだね」

「気合入れちゃいました♡大毅さんとのデートだったので」

気合を入れてくれたのは嬉しい。けれども愛は超丈が短いスカートに、しっかり二の腕が出たノースリーブニットという、なかなか攻めた服装だった。

でも残念ながら、男は単純なのでこういう服装は嫌いではない。いや、むしろ嬉しい。

ただそれが、本命視されるかどうかは少し別の話になると思うけれど…。

それよりも、僕が愛が入ってきた瞬間に感じたのが「本日も、“ブランド大好き”な服装だな」ということだった。

ニットには大きなハイブランドの文字が入っており、バッグもかなり高価な物を持って来ている。

― この子、本当にブランド物が好きなんだな…。

そう思った。でもそれは個人の自由だ。何よりも、愛の場合は自分で稼いだお金で買っている。

それにハイブランドにはハイブランドである所以もある。質も良いし、僕だって、まったくそういう欲がゼロなわけではない。

しかし僕がこのデートで一番「この子とは無理かも」と思ったのが、愛の言動だった。

「愛ちゃん、何飲みたい?」

「じゃあ…シャンパンいただいて良いですか?」

「わかった。って恥ずかしいけど、僕あまりシャンパンとかワイン、詳しくなくて。どれが良い?」

そう言って、愛にオーダーを任せると、愛は平然と1本4万円のシャンパンを、ボトルでオーダーしている。

― これって…普通の感覚?

もし僕が愛の立場だったら、一言「これでもいいですか?」とか、「これ、本当に美味しくて大好きなので、頼んでもいいですか?」とか聞くと思う。

しかも他にももう少し値段が可愛いシャンパンやワインもある中で、何も聞かず、さも当然かのごとく頼む愛の神経を疑いたくなった。

でも今日は僕が誘ったデート。気を取り直して、笑顔で仕切り直す。その後住んでいる家の場所などを話していると、急に愛がストレートにボールを投げてきた。

「大毅さんって、今お付き合いされている方とかいらっしゃるんですか?」

「今?いないよ」

「そうなんですね、良かった」

「良かった」ということは、僕は狙われているのだろうか。そう身構えていると、さらにグイグイと来る。

「ちなみに結婚願望とかあるんですか?」

「あるけど、今じゃないかな。もう少し仕事が落ち着いたら…と思ってる」

当たり前だけれど、本当に好きで結婚したい子が目の前にいたら、こんなことは言わない。

でも愛は、怖過ぎる。

「……え?そうなんですか?」

「愛ちゃんは?結婚願望ある?」

「ありますよ〜。今すぐじゃなくても良いのですが。幸せな結婚をして、子どもは小学校から私立へ入れて、家族みんなで海外旅行をして…みたいなのが理想です」

― だから、それが怖いんだって…。

愛と交際し、結婚したらいくら必要なのだろうか。愛が考えるスタンダードは、もはや高過ぎる。

それに愛の見栄やブランド志向のために、僕の財産が散財される未来は容易に想像がつく。

たしかに外見は綺麗で、顔も美人な部類だと思う。

でも、それだけでは最初のインパクトで花開いて終わる。可愛い人、カッコイイ人なんて世の中にはごまんといるし、30歳を過ぎると、男女共に人間性も備わっていないと魅力は半減していく。

仮に、僕が億超えの役員報酬を得ていたり、外資系投資銀行などのエリートだったらそれも良いのかもしれない。

でも僕くらいのまだ立ち上げたばかりの会社の経営者レベルや、ましてや一般企業に勤める男性だと、愛の性格や考え方は、かなりキツイ。

― 残念だな…。

そう思いながら、これ以上いると何か搾取されそうで怖いので、早々に僕は愛と距離を置くことにした。



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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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