会社を辞めた時に受け取れる「失業保険」ですが、定年退職時は関係ないと思い込んでいませんか? 実は、定年退職でも一定の基準を満たせば失業保険の対象になります。また、退職する日が少しずれただけでも受け取り額が変わるのも、意外と知られていないポイントです。そんな定年世代が知らないと損する「失業保険の仕組み」について、ファイナンシャルプランナー三原由紀氏による著書『定年後に後悔しないお金の大正解100』(永岡書店)から一部を抜粋・再編集し、Q&A形式で解説します。
Q. 定年退職でも失業保険はもらえるの?
A. もらえます
「定年はリタイアであり、失業ではないから失業保険の対象ではない」と思っている人もいるかもしれませんが、定年退職後も働く意欲があり、一定の条件を満たす場合は、失業保険の基本手当を受給できます。
ただし、退職日が65歳になる前か以降かにより、手当の種類、すなわち給付額が変わります。退職日を自ら設定できる場合は、検討しましょう。
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Q. 退職日が65歳になる前か以降かで、失業保険の何が変わるの?
A.65歳になる前に退職すると給付金が高くなります
雇用保険の求職者給付には複数の区分があります。基本手当は64歳11ヵ月までに退職した場合に受け取れることができ、65歳以降に退職をすると、基本手当ではなく「高年齢求職者給付」の受け取りに変わります。
ここで注意したいのが、基本手当と高年齢求職者給付の給付額は、基本手当のほうが高いということです。
具体的には、64歳11ヵ月までに退職すると、再就職するまで最長240日分の基本手当を受け取れますが、65歳以降に退職した場合は、一時金として、基本手当の30日もしくは50日分の高年齢求職者給付しか受け取れません。
ただし、法律上は誕生日の前日に年齢が上がるというルールのため、65歳の誕生日の前々日までに退職することが求められます。
退職時期は業務の引き継ぎなども考慮する必要がありますから、会社との話し合いを重ねたうえで損をしない退職日を設定しましょう。