「東京本土には戻りたくない」“女性プロ雀士”が絶賛する八丈島の住環境。家賃は「15万円から3万円」に

 東京・羽田空港から南に約290kmに位置する離島「八丈島」。東京都でありながら、年間平均気温は約18℃で“常春の島”とも呼ばれ、雄大な自然が訪れる人々を魅了してやまない。

 そんな八丈島に一昨年の7月に移住し、古民家での日々の暮らしぶりをブログ「麻雀プロ八丈島物語」やYouTubeチャンネル「八丈島野生夫婦」で発信しているのが、日本プロ麻雀連盟に所属する女流プロ雀士の松岡千晶さん。前回に引き続き、八丈島の魅力や暮らしの実情、今後の展望などを聞いた。

◆家賃は「15万円から3万円」に

――松岡さんがお住まいの古民家(賃貸)は、平屋でリビングが12畳、寝室が6畳、そのほかにもう一つ部屋があり、キッチンもあるとのことですが、家賃はどのぐらいですか?

松岡千晶(以下、松岡):東京本土に住んでいた時の家賃は、部屋が狭い割に15万円と高額でしたが、今は3万円です。庭もありますし、家と同じぐらいの面積の畑も無料で借りています。水道光熱費は東京本土にいた時とあまり変わりません。

――駐車場は?

松岡:車は1台あって、家の目の前の道路が広いので停めっ放しです。車は通りませんし、誰かに怒られるようなこともありません。毎月の食費は2万5千円と決めていて食費袋に入れて管理しています。あとは畑で野菜を作ったり、海に魚を釣りにいったりしていますね。スーパーは物価が高いので、自分たちで作るようにしています。

◆島にいると無駄遣いがあまりない

――一日の流れはどんな感じですか?

松岡:旦那が朝6時からリモートで仕事なので、私もそのぐらいの時間に起きます。10時から15時ぐらいまでアルバイトに行って、終わったら海に行って泳いだり釣りをしたり、ゲームしたり、家の庭でバーベキューをしたり、お酒を飲んだりしています。あとは麻雀をしたり、ブログを書いたりして、22時から23時には寝ています。旦那は麻雀のリーグ戦がある度に、東京本土と島を行き来していますね。

――旦那のノリヒトさんはプロ雀士やゲーム配信などで稼いでいて、松岡さんも島でアルバイトを掛け持ちされているじゃないですか。共働きなので、貯金も順調なのかなと?

松岡:そうですね。お財布は全く別にしているのですが、2人合わせても月々10万ちょっとぐらいしか使っていないと思うので。東京本土にいると、ドン・キホーテとかで買い物をした時に目に映るものにあれこれ手が出てしまいますが、島にいるとネットでの買い物が多いので無駄遣いをあまりしません。なので、貯まっていきますよね。

 また、旦那が朝6時からリモートで仕事なので、私もそのぐらいの時間に起きます。10時から15時ぐらいまでアルバイトに行って、終わったら海に行って泳いだり釣りをしたり、ゲームしたり、家の庭でバーベキューをしたり、お酒を飲んだりしています。あとは麻雀をしたり、ブログを書いたりして、22時から23時には寝ています。旦那は麻雀のリーグ戦がある度に、東京本土と島を行き来していますね。

――それ以外にペットたちのお世話もされていますよね。

松岡:犬が1匹、猫が3匹、それと、去年2月からニワトリを2羽飼っています。ニワトリは2羽ともメスなのですが、2年ぐらいすると卵を産まなくなることを知って……。なので、それまでには絞めて食べようと思っています。ニワトリに関してはペットという感覚ではないですね。愛情もありますし名前もつけたりしたのですが、卵を産まないならいいかなって。

◆島でのアルバイトは「働いている感覚」がない

――松岡さんはアルバイト以外に、収入を増やすためにやっていることはありますか?

松岡:東京本土にいた頃に稼いだお金を貯金しているので、それをインデックスファンドに投資しています。始めて2~3年なのですが利益がけっこう出ていて、月で割ると同い年のOLの月給と同じぐらいになるんです。それがあるからってこともあるのですが、島でいくつかやっているアルバイトはお金を稼ぐために働いているっていう感覚は特にありません。全部楽しいですし、遊んでいる感覚に近いですね。

――島の人たちと仲良くなれるものですか?

松岡:そうですね。仲良くなると島の歴史を教えてくれたり、物々交換もしてくれたりしますし、稼ぐためにではなく、そういう貴重な出会いを求めてアルバイトをしている感じです。農家のことは農家で働いてみなければわかりませんし、職業体験をさせてもらっている感覚ですね。あと、最近は自分たちで育てた島唐辛子の製品化を進めていたりもします。完成したらスーパーやお土産屋さんで販売したり、ネットで販売するつもりです。

◆旦那は地元に帰りたがっている?

――松岡さんはプロ雀士ですし、SNSでの発信力や影響力もあると思いますが、八丈島にはほかにもインフルエンサーがいたりしますか?

松岡:八丈島ではあまり聞きません。自分で言うのもなんですが、もしかしたら私が一番知られているかもしれません。去年2月に『新婚さんいらっしゃい!』(ABCテレビ)の公開収録が八丈島であって、夫婦で出演したんです。その影響もあってか、スーパーに行った時や散歩中に「見たよ!」って声をかけてくれたり。

――麻雀ファンだけでなく、島でも有名人なんですね。ちなみに、この先も八丈島に住み続ける予定ですか?東京本土(地元の大田区・蒲田)に戻りたい気持ちはありますか?

松岡:旦那は「地元の横浜に帰りたい」って言っているのですが、私はもう東京本土には戻りたくないと思っています。自然が大好きですし、海も近いし、のほほんとした空気が好きなので。仮に島を出たとしても他の離島に移ると思いますし、それが海外になるのかもしれません。

――意見が割れていますが、そのことについて話し合うことは?

松岡:ありますね。「(自分が)私を追って八丈島に来たんだから、横浜に戻ることはあきらめろ」と突っぱねています(笑)。確かに島に住んでから2年ぐらい経ちますし、先々の不安も出てきているのかもしれませんが、やっぱり都心や横浜と比べて土地や家は島の方が断然安いので。

 

今後、2階建ての家に1階建ての家が付いた物件を購入しようとしているのですが、2階建ての家の2階には、ロフト付きで8畳ぐらいの部屋があるんです。旦那はゲーム配信もしていたりするのですが、「2階の部屋を配信部屋にしてもいいよ」と言って説得している最中です(笑)。

◆ファンの存在がモチベーションにつながる

――ちなみに、YouTubeチャンネルの撮影や編集はお二人でされているのですか?

松岡:撮影も編集も二人でしています。ただ、編集は旦那の方が上手いので今は旦那が全部やってくれています。もうちょっと本格的に取り組みたい気持ちはあるのですが、ケンカをしている時は撮影に行きませんし、編集もしません。そんな感じなので、夫婦でやっているYouTubeチャンネルにしろ、私個人のYouTubeチャンネルにしろ、趣味みたいな感じですね。

――松岡さんはプロ雀士として日本プロ麻雀連盟に在籍はしているものの、今はプロ雀士としての活動はほとんどされていないそうですね。それでもファンの方々は以前のように応援してくれていますか?

松岡:ほとんど活動してない上に、結婚もしているじゃないですか。プロ雀士もアイドルみたいな感じの部分がちょっとあって、やっぱり結婚するとファンは減るんです。でも、いまだに応援し続けてくれるファンの方々もいますし、八丈島での暮らしを伝えている私のブログを見て新しくファンになってくれた方もいます。

 あと、新しい目標ができたりするとすぐにX(旧Twitter)で言っちゃうタイプなのですが、多くの人に言うことによって実現しやすくなると思うんです。言ってしまえば、ファンのみんなが応援してくれますし、見守ってくれるんですよね。「やらなきゃ」という思いになりますし、ありがたい存在です。

◆島の“アイコン的な存在”を目指したい

――今後取り組んでいきたいことや夢はありますか?

松岡:自分たちで育てた島唐辛子の製品化を進めていると先ほどお話しましたが、それでちょっと稼ぎたいなっていうのがまず一つ。

あと、私は島の八丈町商工会青年部に所属していて、ボランティア活動によく参加させてもらうんですけど、島の人たちって「みんなで仲良くなりたい」っていう気持ちが強いんです。そういうことをサポートするできるイベントを企画していきたいですね。9月末頃に街コンの島バージョンである「島コン」っていうイベントがあって、それの企画にも関わっているのですが、どんどん盛り上げていきたいなと。

――松岡さんは発信力や影響力があるので、松岡さんが協力してくれると運営側も心強いですね。

松岡:漁師さんや農家さんなど、全ての島民の方々と仲良くさせていただければありがたいですし、島のことを地道に発信することで多くの方々に八丈島の魅力が伝わればいいなと。将来的には、島内では「知らない人はいない」、島外から見た時に「八丈島といえば松岡千晶」というような“アイコン的な存在”を目指したいです。島のイベントには全部顔を出して、イベントをするにあたってはいろいろな企画を出していきたいですしね。今は高齢の方々が企画を考えたりしていますが、そこに新しいものを加えたりして、島を盛り上げていきたいですね。

<取材・文/浜田哲男>

【浜田哲男】

千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界を経て起業。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ・ニュース系メディアで連載企画・編集・取材・執筆に携わる。X(旧Twitter):@buhinton